2006年2月25日(土)「しんぶん赤旗」
米英が未臨界核実験
被爆者ら抗議
【ワシントン=鎌塚由美】米エネルギー省核安全保障局は二十三日、西部ネバダ州の核実験場で、一九九七年以来で通算二十二回目の未臨界核実験「クラカタウ」を実施したと発表しました。二〇〇四年五月二十五日の前回実験以来、一年九カ月ぶり。
今回の実験は米英両国共同で行われました。米英共同実験は、〇二年二月十四日以来、二回目となります。
未臨界核実験は、地下核実験を九二年から凍結しているもと、現有核兵器の信頼性を維持するための情報収集の目的で行われています。地下約三百メートルで、爆発によるプルトニウムの動きを調査したとされています。
核問題に詳しい民間団体の英米安全保障情報評議会(BASIC)のデービス事務局長は、今回の実験で得られた情報は「新型弾頭の設計にも使える」と指摘。スコットランド核軍縮運動(CND)は、「われわれが核兵器の一部の実験をしておきながらイランに(核開発を)抑制せよと求めても聞き入れられるだろうか」と批判しました。
被爆者ら抗議
米大使館前 日本被団協
|
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は二十四日、米国が英国と共同で未臨界核実験を強行したことに対し、東京・港区の米大使館近くで抗議行動をしました。
東京と千葉、神奈川両県の被爆者二十四人が英文のプラスターなどを手に駆けつけ、大使館に向かって「被爆者に謝罪もなく、核実験を繰り返す。満腔(まんこう)の怒りをもって抗議する。直ちに実験をとりやめよ」と要求しました。
厳しい警備のなか、大使館前まで通された日本被団協、東京都原爆被害者団体協議会の代表らが、ブッシュ大統領あての抗議文を読み上げ、大使館側に提出しました。
日本被団協の田中煕巳事務局長らが手渡した抗議文は▽未臨界核実験の計画を永久に放棄せよ▽二〇〇〇年の核不拡散条約再検討会議で確認した核廃絶の「明確な約束」実行を▽国際条約締結に向けた多国間交渉の開始―を求めています。
広島平和公園 県原水協など
|
米英両国が共同で日本時間の二十四日午前五時にネバダ州の地下核実験場で未臨界核実験をしたことに抗議して、広島県原水協(大森正信筆頭代表理事)や同被団協(金子一士理事長)など八団体は同日、広島市中区平和記念公園内の原爆碑前で座り込みをしました。
約七十人が参加し、原爆碑にむかって黙とう。大森代表は「アメリカが孤立を深める中、イギリスとの共同実験は、日本の米軍基地再編強化と連動している。全世界と力を合わせて平和を守る仕事をすすめたい」とあいさつ。金子理事長は「被爆者を無視した暴挙を断じて許すわけにはいかない」と訴えました。
米国のブッシュ大統領と英国のブレア首相に「今後一切の核開発計画を中止し、ただちに全ての核兵器を廃絶するよう求める」との抗議文を送付しました。