2006年2月25日(土)「しんぶん赤旗」
沖縄の新基地建設計画
3つの大問題を告発する
志位委員長会見
日本共産党の志位和夫委員長は二十四日、午前の新基地建設の現場調査を踏まえ、那覇市で記者会見し、沖縄の基地問題について、日本共産党の考えをのべました。在日米軍再編で狙われているキャンプ・シュワブ沿岸部への新基地建設計画(沿岸案)が、一九九六年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意にもとづく海上基地案と比べ、「重大な質的な変化がある」とその危険性を解明しました。
「海兵隊の強化」が公然と目的に
SACO合意にもとづく海上基地案は、ともかくも「負担の軽減」を目的とすることを建前に掲げていました。
ところが、昨年十月の日米合意文書では、新基地計画が「柔軟な危機対応のための地域における米海兵隊の再編」の項目に位置付けられています。このなかで「太平洋における兵力構成を強化」「海兵隊の緊急事態への対応能力の強化」と明記するなど、「海兵隊の強化」を公然と目的に掲げています。その中軸的な基地に、沿岸案が位置付けられています。
志位氏は「沿岸案は、『海兵隊の強化』先にありきから出発している。この立場からの計画は、県民にとって、いっそう重大で深刻な危険をもたらす」とのべ、海上基地計画と対比して沿岸案の「三つの大問題」を告発しました。
「撤去可能」から「恒久基地」になる
SACO合意は、海上基地案を「撤去可能」とし、稲嶺恵一沖縄県知事も「十五年使用期限」を条件につけていました。
ところが、沿岸案では、この建前がまったく消失。志位氏は「文字どおりの基地の恒久化だ」と指摘しました。
海兵隊の“殴り込み”機能が格段に強化される
海上基地に比べても、沿岸案では海兵隊の“殴り込み”機能は格段に強化されることになります。
――滑走路は、海上基地案の千五百メートルから千八百メートルに大幅に延長。海兵隊の次期主力機MV22オスプレイの配備を念頭に置いたもので、しかも空中給油機や輸送機の離着陸が可能になる。
――桟橋付きの飛行場になる。大浦湾は水深が四十―五十メートルもあり、海兵隊部隊を輸送する強襲揚陸艦の接岸も可能となり、軍港化される危険がある。
――海上基地では、米国防総省の運用構想によると、海兵隊航空部隊の施設を、海上基地と沿岸部に分離しなければならなかった。沿岸案では、必要なあらゆる施設が、同じ基地の中に一体化され、基地はいっそう使いやすいものになる。
志位氏は「(沖縄が)イラク戦争で暴虐のかぎりを尽くした海兵隊の根拠地とされていることが、県民の強い怒りを呼び起こしている。これを野放図に拡大することなど、絶対に許せるものではない」とのべました。
住民の安全、自然環境の保護は、まったく考慮の外
沿岸案は、「海兵隊の強化」が最優先とされたため、住民の安全、自然環境の保護は、まったく考慮の外におかれてしまっています。
――海上基地案では、滑走路と辺野古の住宅中心地との距離は二・二キロ。ところが沿岸案では、固定翼機の進入経路が住宅中心地からわずか七百メートルしかなく、爆音と事故の危険が飛躍的に拡大する。
――サンゴ礁やジュゴン、マングローブなど自然環境への重大な影響が、辺野古沿岸だけでなく、大浦湾にも拡大する。
志位氏は「沿岸案は、県民のだれからも賛同が得られないものだ」とのべ、これまでSACO合意に賛成してきた人も反対してきた人も力をあわせ、沿岸基地案反対の一点で大同団結する条件が生まれていると指摘。「沖縄県民が、沿岸基地案反対の一点で島ぐるみの大同団結をつくりあげることが大切」とのべ、このたたかいの一翼を担う決意を表明しました。