2006年2月24日(金)「しんぶん赤旗」

岩国住民投票 来月12日

市民の声は重い

説明会で井原市長

基地問題は将来左右


 米空母艦載機の受け入れの是非を問う山口県岩国市の住民投票(三月十二日)にむけ、市の住民説明会が二十一日から始まりました。政府や移転容認派の巻き返しもおきており、井原勝介市長は、市民の疑問に答える形で住民投票の意義を強調しました。


■なぜ今住民投票?

「岩国の将来を決める重要問題。結果踏まえ国に届ける」

 井原市長は「なぜ今住民投票か」の声に答え次のように説明しました。

 「米軍再編の『中間報告』が示されて以後、国と協議をしています。今は、地元の理解を求められている段階で、国に意見を上げていく大事な時期です。基地周辺住民の大きな痛みや不安、何より子どもたちが安心して住める岩国の姿を考えれば、今回の移転案は容認できないという一貫した方針で対応してきましたが、最近、市議会や市民の一部に受け入れを前提に条件闘争すべきだなどの意見が出ています。岩国の将来を決める重要な問題ですから、直接住民の意思を確認し、住民投票の結果を踏まえて地元の声をしっかり国に届けることが必要だと判断したものです」

■基地問題や国防は国の専管事項?

 「市民の安全・安心にかかわる。住民の意思を確認するのは当然」

 「基地問題や国防は国の専管事項。住民投票はなじまない」という意見に、市長は「基地や米軍再編全体は国の問題かもしれませんが、岩国基地に関係する部分は、地元に理解を求められている問題であり、市民の安全・安心にかかわる事項です。市民の意思を確認した上で地元の声を国に届けるのは市長の責任です」。

■日米両国で決めたものだから変更できない。住民投票は意味がない?

 「市民の意思は重く、尊重すべきもの」

 「国が決めた以上白紙撤回は無理。住民投票は無意味で、費用二千五百万円も使うのは無駄だ」との意見もあります。市長はこうのべました。

 「国は今の案の変更は考えてないと言いますが、住民の理解と協力なくして基地の安定的運用はないというのが、政府も米軍も共通の認識のはず。その意味で住民の声は重いし、まして、住民投票で示される市民の明確な意思は重いものであり、政府も尊重すべきもの。沖縄・普天間基地の移転問題は十年前に合意されましたが住民の反対が根強くいまだに実現できていません。岩国は移転案が示されてわずか二―三カ月。本格的な交渉が始まるのはこれからです」

■合併後に市民の意思を確認すべきでは?

 「三月末までに対応する必要がある」

 「(三月二十日に岩国市と)合併する他町村も米軍再編問題に重大な関心を示しており、これまでも首長会議などを通じて逐次情報提供し理解を求めて進めてきました。しかし、三月末には日米最終報告が取りまとめられる予定であり、現岩国市として早急に責任ある対応をする必要があることから、その意思決定の一つの手段として、住民投票が必要であると判断しました。なお、住民投票条例は合併とともに失効し、合併後に住民投票はできません」


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