2006年2月22日(水)「しんぶん赤旗」

くらし悪化 リストラ・倒産・食費1日500円…

「共産党生活相談が命綱」

福岡市にみる


 福岡市博多区千代にある日本共産党の比江嶋俊和福岡市議の後援会事務所。この平屋建ての民家に続々と人が集まります。毎月第三水曜日の夜に開かれる無料生活相談です。“生活保護後進都市”といわれる福岡市では―。(佐藤高志)


自立励まし一緒に汗

写真

(写真)生活相談を受ける比江嶋市議(左から3人目)=15日、福岡市内

 相談にくる人は、年齢も身なりもまちまち。みな無言です。順番をじっと待ちます。

 「夫がリストラされて国民健康保険料が払えない」という三十代女性、「生活保護を申請しても断られた」と訴える母親、親子で借金を背負った五十すぎの男性は「ヤミ金に手を出して連日、取り立てが来る」。

 サラ金への借金と家賃や保険料の滞納がいくつもからみ合って生活が破たんした人も少なくありません。

 「最近は、かつて年収の高かった人がリストラや倒産で生活が立ちいかなくなる相談が多くなった」と比江嶋市議。

心までは貧しくない

 山下達雄さん(78)=仮名=は最近、生活相談を通して立ち直った一人です。ブライダル・プランナーとして働いていた時の年収は一千万円を超えていたといいます。

 退職後に妻の良子さん(63)=仮名=とともに中洲で始めたスナック経営でつまずきました。客は上場企業の部長クラスばかり。最初の二年は、黒字が続きましたが、小泉内閣が発足した二〇〇一年に入ると不況で、毎月赤字がふくらむようになりました。〇四年に店をたたんだ際には借金は千二百万円にも。

 返済のために親せき、知人にも借金を重ね、その日食べるものにも困る日がつづき、「もうどうにもならない。死のう」。

 山下さんが自宅のベランダに手をかけたことも一度や二度ではなかったといいます。家財道具もすべて売り尽くして、最後にたどりついたのが共産党の生活相談。生活保護の申請を勧められましたが、「それだけは避けたかった」と。

 悩みぬく山下さんに、比江嶋市議は、「今まできちんと仕事をして税金を納めてきたんでしょう。苦労して生きぬこうとしている人を支えるのは行政の責任なんですよ」と励まし続けました。

 「比江嶋市議とのつながりが最後の命綱だった」と語る山下さん。比江嶋市議の紹介で、福祉事務所に足を向けたときの全財産は、わずか一万四千円。しかし、申請窓口では、「養ってくれる親族がいるでしょう」「年金、保険があるでしょう」と詰問されました。

 「『ない』と答えてもすべて疑われる。まるで罪を犯して取り調べを受けているようだった」。妻の良子さんの目に涙が浮かびます。「生活保護を受けていても心まで貧しくなっては駄目。それだけを毎日、自分に言い聞かせています」

 山下さん夫婦には今月二日、生活保護の決定がおりました。しかし、山下さんは幸運なほうなのです。

 福岡市の福祉事務所に相談に訪れた人は〇四年度で九千五十世帯。そのうち実際に保護を受けられたのは四千七十二世帯だけ。一方、生活保護を打ち切られた世帯は三千二百六十八世帯にもなります。

 「生活相談は議員活動の原点」という比江嶋市議。「生活相談会は、相談者と一緒に汗をかき、自立の道を探す場所です。それを通じて政治に痛めつけられる人々の新しい連帯がうまれ、社会的反撃の力が生まれるんです」

冷たい施策のもとで

 福岡市博多区の市営住宅に一人暮らしの松島紀子さん(76)=仮名=。生活保護を受けて五年目ですが、「生活費は削れるだけ削りこむ」日々です。というのも、厚生労働省が七十歳以上の生活保護者に支給されている「老齢加算」を四月から廃止するからです。

 福岡市は生活保護一級地なので、「老齢加算」は月額一万七千九百三十円ありました。それが四月からはゼロに。いまでも松島さんの一カ月の収入は月五万八千円だけ。家賃一万九千円や水光熱費を払ったら手元にはいくらも残りません。一日の食費は約五百円。

 お金のかかる肉類はほとんど食べられないとあきらめ顔。「一本の大根を三つにして煮物などに…。それをおかずに三日間にわけて食べます」

 そのうえ介護保険の改悪で、昨年十月から週二回通うデイサービスも新たに五百円の食事代がかかることになりました。

 「果たしてこの先どうやって生活するのか」

命にかかわる相談が

 松島さんが頼りにするのは、地元地域で生活相談を続ける日本共産党支部。とくに親しいのが梅木節子さん(66)です。小柄で、ハキハキした口調、威勢のいい梅木さんとのおしゃべりは、「話を聞いてもらうだけで、気持ちが落ち着く」と松島さん。

 梅木さんは、松島さんをはじめ一人暮らしのお年寄りを一日に一度必ず電話かじかに訪問して暮らしぶりを聞き取っています。

 党支部は「困ったときは共産党に」を合言葉に毎月全戸に案内ビラを届け比江嶋市議らと生活相談を続けてきました。相談者とともに福祉事務所に出向き、ケースワーカーとの交渉に立ち会います。

 「小泉さんが首相になってから、命にかかわる深刻な相談が多くなった」と梅木さん。続けていいます。「みんな助け合いながら生きているものでしょう。生活相談会は、その結びつきをつくる一番の力なのよ。だから楽しい」


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