2006年2月21日(火)「しんぶん赤旗」
組閣協議 本格化へ
アッバス議長 交渉による和平訴え
パレスチナ
【カイロ=小泉大介】一月の選挙での武装抵抗組織ハマスの大勝を受け、パレスチナ評議会(国会に相当)が十八日に初招集され、十九日にはハマスが同組織の穏健派幹部イスマイル・ハニヤ氏(46)を首相候補に指名しました。今後、新自治政府の組閣作業が本格化し、二十日にはアッバス自治政府議長とハマスの協議が行われることになっています。
アッバス議長は十八日の評議会での演説で、ハマスによる組閣を認める一方、過去にイスラエルや国際社会と結んだ合意を尊重し、交渉により和平を実現するよう強く訴えました。
これに対しハマスのズフリ報道官は「いまだにわが人民に集団的懲罰をしている占領者との交渉は拒否する」「正当な権利である武装抵抗方針を堅持する」と反発しました。
パレスチナ基本法(暫定憲法)は、議長により指名された首相が五週間以内に組閣すると規定しています。報道によれば、アッバス議長は近日中にハニヤ氏に組閣を要請するとともに、新政府の政策指針を文書で示す予定。その中身は、中東和平のための「ロードマップ」(行程表)の尊重、イスラエルの生存権の承認、非暴力の抵抗への方針転換などが柱になるとされています。
ハニヤ氏は十九日、アッバス議長との協議に関し、「すべて(の議題)がテーブル上にある」と表明。自治政府のアリカット交渉責任者は、もし新政府が議長の和平方針を拒否すれば、「それは憲法違反であり重大な危機をもたらす」と警告しました。
ハマス最高指導者のマシャール氏はこの間の新聞インタビューで、イスラエルとの長期停戦の見通しを語るだけでなく、イスラエルの全占領地からの撤退を条件に武装抵抗の放棄を示唆する発言もしています。
イスラエルの英字紙エルサレム・ポスト十六日付はハマス関係者の話として、ハマス内で現在、一九八八年に制定された憲章の見直しが進んでいると報じました。同憲章は「イスラエル抹殺」を掲げていますが、関係者は、「政治的言語」を用い、占領問題を強調するものに変更される可能性があるとしています。ある幹部はインタビューで「憲章はコーランではない」と答えています。
国際的にはイスラエルと米国がハマス主導の新自治政府への圧力を強めています。一方で、「ハマスが民主的選挙で権力についたことを認めるべき」(プーチン・ロシア大統領)「われわれは新たなパレスチナ自治政府の構成とその政策を見極めなければならない」(欧州連合のソラナ共通外交・安全保障上級代表)などの声も出ています。
アラブ連盟のムーサ事務局長は十九日、アラブ各国が送金停止を穴埋めするための支援を検討していると表明しました。
イスマイル・ハニヤ氏 ハマスのガザ地区政治部門幹部。62年、パレスチナ自治区ガザ市西郊のシャーティ難民キャンプ生まれ。ガザのイスラム大学でアラブ文学を学び、イスラム運動に関与する。04年春にイスラエルに暗殺されたハマスの精神的指導者ヤシン師の側近を務めた。評議会選では比例代表名簿一位。パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハなど各派も受け入れ可能な穏健派でイスラエルとの対話も排除していない。(エルサレム時事)

