2006年2月18日(土)「しんぶん赤旗」

自動車排ガス被害 どうする?


 〈問い〉自動車排ガスが与える害は深刻です。行政はこれまで、どう改善努力をしてきましたか? 共産党はどう考えていますか?(山梨・一読者)

 〈答え〉自動車排ガスでぜんそくや肺気腫など、深刻な健康被害が生じていることは、裁判でも明らかにされています。

 こうした被害にたいして、政府の自動車排ガス汚染対策は、自動車メーカーや財界の意向を反映し、大きく二つの問題を抱えてきたといえます。

 第一に、自動車の交通総量規制やメーカーにおける排ガス総量規制、現在使用している車の有害物質の除去など、実効ある対策を怠ってきたことです。

 政府は健康被害の原因物質の一つである窒素酸化物の環境基準を1978年に緩和した上で、1985年までに環境基準をクリアすると約束しました。しかし、それは守られず、以後、1992年に達成する、2000年に達成するという約束もすべてほごにされ、今日まで未達成となっています。

 また、原因の一つである浮遊粒子状物質のなかでも、さらに粒状が小さく深刻な健康被害をおよぼす微粒子(PM2・5―直径が2・5マイクロメートル以下の超微粒子)は、環境基準さえ設定されていません。ディーゼル排ガス(DPE)は、発がん性さえ指摘されていますが、国は、東京都がやっている対策さえとっていません。

 第二の問題は、被害者の救済を怠ってきたことです。

 政府は、「公害は終わった」という財界のキャンペーンのもとで、1987年に、大気汚染公害患者を救済してきた法律を改悪して、被害者の新たな認定をしなくなりました。

 この政策が誤りであったことは、その後の大気汚染裁判で、国が5回にわたって敗訴したことでも明らかです。しかし、現在、苦しんでいる大気汚染被害者を救済する国の制度は存在していません。

 日本共産党は、国と自動車メーカーの責任で被害者救済のための制度を、患者の声と実態を聞きながら新たに確立することを求めています。そして、汚染地域への自動車の流入規制をはじめ、自動車排ガスの総量を削減し、有害物質の除去などの実効ある措置が、どうしても必要だと考えています。(俊)

 〔2006・2・18(土)〕


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