2006年2月18日(土)「しんぶん赤旗」
ロシアとイラン
ウラン濃縮協議 行方は
20日モスクワで
核開発問題 打開探る
【モスクワ=田川実】イランの核問題にからみ同国向けウラン濃縮をロシア国内で行う案について二十日、モスクワで両国の協議が行われます。イランがウラン濃縮関連の活動の再開を宣言する一方、米国がイランへの圧力を強めているもと、モスクワ協議の行方が注目されています。
「イランとロシアは良好な関係にあり、イランの核開発が国際的に引き起こした危機を両国が協力して取り除くことを望む」―イランのアンサリ駐ロ大使は十六日、ロシア下院国際問題委員会の議員らとの会合で強調しました。
インタファクス通信によると同大使は、「欧州諸国がわが国に送ってきた文書とは違い、ロシアは原子力の平和利用の権利を認めている。それが最も重要だ」と述べました。
ロシアは昨年十二月末、ウラン濃縮の前段階の転換作業をイランに認める代わりに、両国の合弁企業を設立し濃縮をロシア国内で行う妥協案をイラン側に示しました。
ロシアは、同国内でのウラン濃縮はイランの濃縮活動再凍結が条件だとしています。イランは合弁企業が生産した核燃料を受け取るだけ。年明け一月にテヘランで交渉が行われましたが合意に至らず、交渉継続になっていました。
ロシア紙コメルサント十四日付によればイラン側は、ロシアでの濃縮を二年間に限り、それに自国技術者の参加を認めさせ、その後はイラン国内でのウラン濃縮を認めるよう要求しています。
イランは産油国ですが、増える国内エネルギー需要は原発で賄う方針で、そのために核燃料サイクルも自前での開発にこだわっています。ロシアの協力でイラン南西のブシェールに初の原子力発電所を建設中です。
しかし、国際原子力機関(IAEA)から核査察への協力が不十分だと非難され、イランの核兵器開発疑惑は収まっていません。
核大国ロシアは、ウラン濃縮を含む原発用核燃料サイクルのための国際センターを国内に創設したいと表明しています。同センターはイランに限らず、「核不拡散体制の順守という条件下で原子力に関心を持つすべての国に公正に開かれる」(プーチン大統領)としています。これは、エルバラダイIAEA事務局長が〇四年に提唱したウラン濃縮・再処理事業の国際管理構想を受けたものといえます。
二十三日にはロシア原子力庁のキリエンコ長官がイランを訪問し、ブシェール原発の視察などをする予定です。

