2006年2月17日(金)「しんぶん赤旗」

定率減税全廃は公約違反

衆院本会議 石井議員の質問

(大要)


 十六日の衆院本会議で、日本共産党の石井郁子議員がおこなった所得税法等の「改正」案および公債発行特例法案についての質問(大要)は次のとおりです。


 第一に、所得税・住民税の定率減税の廃止についてです。自民党は、昨年の総選挙の際、「『サラリーマン増税』を行うとの政府税調の考え方はとらない」と「政権公約」に掲げました。にもかかわらず、今回の所得税法等「改正」案に所得税・住民税の定率減税の全廃を盛り込みました。二年間で三兆四千億円の大増税です。明らかに公約違反ではありませんか。

 そもそも、所得税・住民税の定率減税は、小渕内閣時代に経済的危機を打開するための「恒久的減税」として、法人税の税率引き下げ、所得税最高税率の引き下げとともに実施されました。所得税・住民税の定率減税だけが全廃されることにも、国民は大きな疑問を感じています。

 いま大企業は、史上最高といわれる収益をあげています。しかし、多くの国民は景気回復を実感できず、所得の低下が続いています。「所得税の最高税率引き下げ」と「法人税の税率引き下げ」こそが、廃止されるべきではないでしょうか。

 第二に、大企業への優遇税制の問題です。大企業へは「恒久的減税」だけでなく、連結納税制度の導入や研究開発減税などの減税をしてきました。本法案は、国際競争力を理由に、研究開発減税を継続し、情報基盤強化のために新たな減税を創設するなど、大企業減税を温存しています。

 第三に、小泉内閣の「税制改革」について聞きます。小泉内閣は、二〇〇二年の「骨太の方針」で「あるべき税制」を打ち出しました。しかし、この間進められてきた「税制改革」は、配偶者特別控除の縮小や高齢者向け控除の縮小など庶民への負担を増やし続けるものでした。小泉内閣五年間の庶民増税の結果、今年で年間約三兆五千億円もの増税になります。結局、「あるべき税制」とは、庶民増税・大企業減税を目指すものではありませんか。

 第四に、消費税の問題です。財務大臣は、六月をめどにまとめる歳出・歳入一体改革で、消費税増税に強い意欲を示しています。消費税は、低所得者にずしりと重い逆進性の強い税であり、再配分機能にマイナスの影響を持つ税制です。この消費税を増税すれば、「所得格差」はますます広がるではありませんか。

 また、少なくない中小零細業者が消費税を転嫁できず、身銭を切っています。消費税の免税点を売り上げ一千万円に引き下げたことにより、消費税を納められず廃業する業者が多くでることが懸念されています。財務省は、この問題について調査したのでしょうか、転嫁できない業者はどのようにすればいいと考えているのか。

 最後に、公債発行特例法案について質問します。小泉内閣は、二〇〇六年度予算において「国債発行を三十兆円以内に抑えた」ことを自賛していますが、これは定率減税の廃止や医療改悪、地方交付税の削減など、国民と地方自治体に負担をかぶせた結果にすぎません。小泉内閣が在任中の五年間に発行した新規財源債は、総額百七十一兆円にもおよびます。

 日本共産党は、ムダと浪費の大型公共事業や、大企業・大金持ちへの減税が、財政悪化の重要な原因となったと考えます。財政再建には、歳出の浪費に抜本的にメスをいれ、大企業の優遇税制を見直し、税・財政のゆがみを改めることが必要です。


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