2006年2月17日(金)「しんぶん赤旗」

2度以上上昇は危険

京都議定書発効1年 温暖化防止へシンポ


 地球温暖化防止の京都議定書発効から一年を迎える十六日、「気温上昇はどこまで許容できるか」をテーマにしたシンポジウムが東京・千代田区で開かれました。

 主催は、昨年、研究者、行政関係者、企業、環境市民団体メンバーなどが参加して発足した「フォーラム気候の危機」。環境研究者から、地球の平均気温の二度上昇が、気候変動の「危険なレベル」である研究結果が報告され、二〇五〇年までに京都議定書の目標を上回る温暖化ガス排出削減がせまられていることがあきらかにされました。

 国立環境研究所の原沢英夫社会環境システム研究領域長は、研究者の予測を超え、大きくかつ早く地球温暖化の影響が世界各地でおこっていることを報告。環境考古学の研究者の安田喜憲・国際日本文化研究センター教授は、過去の気候変動の研究結果を紹介。過去の気候変動でもアジアモンスーン地域で影響が大きく、温暖化ガス濃度と環境変化に時間的なずれがあり、今後一気に影響がでてくる危険に警鐘を鳴らしました。

 地球環境産業技術研究機構の茅陽一副理事長は、元にもどれない破局的な温暖化の影響として、気温上昇が二―三度の場合、グリーンランドの氷融解と二一〇〇年までに海面上昇七十五センチのほか、アマゾン雨林崩壊、世界的な森林・草地喪失による砂漠化が発生すると指摘。危険レベルの気温上昇が二度となっていることを報告しました。二度上昇を抑えるには、二酸化炭素濃度を四五〇ppm以下にする必要があり、先進国では70―90%を削減しなければならない試算を紹介しました。

 国立環境研究所の西岡秀三理事は、気温上昇二度以下にするには二〇五〇年の温暖化ガス排出を一九九〇年レベルの50%以下にする必要があり、日本は60―80%の削減が求められる可能性があると指摘しました。


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