2006年2月14日(火)「しんぶん赤旗」

国保証

取り上げ30万件超す

470万世帯払えず


 自営業者などが加入する国民健康保険の保険料(税)を払えない滞納世帯が全国で四百七十万世帯にのぼり、一年以上滞納して保険証を取り上げられた世帯が初めて三十万世帯を超えたことが、十三日までに厚生労働省の調査結果でわかりました。二〇〇五年六月現在の集計で、いずれも過去最高です。


グラフ

■厚労省調査

 この調査は日本共産党の小池晃参院議員が厚労省に要求していたもの。滞納世帯は四百七十万一千四百十世帯で、国保に加入している全世帯(約二千四百九十万世帯)の18・9%を占めています。一年前に比べ約九万世帯増えています。

 国は、国保料滞納から一年以上たった世帯から保険証を取り上げることを市町村に義務付けています。保険証の代わりに、「資格証明書」が発行されますが、いったん窓口で医療費の全額を払わなければなりません。

 今回の調査で資格証明書発行世帯は三十一万九千三百二十六世帯。資格証明書発行が全市町村に義務付けられる前の二〇〇〇年(約九万六千世帯)と比べ、約三・三倍に急増しています。

 有効期限を三カ月などに限定した「短期被保険者証」の発行は百七万二千四百二十九世帯となっています。

 政府が一九八四年に、国保の国庫負担を45%から38・5%に引き下げたことで、市町村の国保財政は悪化し、国保料の引き上げがつづいています。国保料が払えず保険証を取り上げられたために病院に行くことをためらい、命さえ奪われる悲惨な事態が全国で問題になっています。

 「資格証明書」発行の市町村への義務付けは、小泉首相が厚相だった九七年の国保法改悪でおこなわれ、小泉内閣スタートの二〇〇一年度から実施されています。

■国保法にも反する事態

 日本共産党小池晃参院議員の話 国保料滞納世帯の激増の背景には、貧困と社会的格差を広げている小泉「構造改革」があります。保険証の取り上げを許さない住民運動も広がっていますが、それでも資格証明書の発行が三十万世帯を超えたことは、「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」(国保法第一条)とした国保法にも反する重大な事態です。

 日本共産党は、十日に国会に提出された医療改悪法案の廃案を求めてたたかうとともに、命と健康をおびやかす保険証の取り上げをやめさせ、国保への国庫負担を計画的に元に戻して保険料の引き下げを実現するため、引き続き全力を尽くします。


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