2006年2月12日(日)「しんぶん赤旗」

67〜74年

核実験汚染を報告

甲状腺がん発生4倍高い

仏領ポリネシア議会


 【パリ=浅田信幸】南太平洋のフランス海外領土、仏領ポリネシアの地方議会は九日(日本時間十日)、フランスが一九六七年から七四年にかけて行った大気圏内核実験について、タヒチ島を含む全域で放射性物質の降下(死の灰)による健康被害などが出ていると指摘した議会調査委員会の報告書を採択しました。

 調査は、昨年七月から今年一月にかけて実施されました。報告書は、仏国防省の解禁文書や研究機関の文書を精査。さらに、実験場があったムルロアとファンガタウファの両環礁に近いガイビエル諸島とトゥアモトゥ諸島での現地調査結果を取りいれています。

 報告書をまとめたイルソン調査委員会委員長によると、ポリネシアでは、核実験の影響が疑われる甲状腺がんや骨髄性白血病の発生率が他地域に比べて最大四倍にも達するといいます。

 また解禁文書により実験場から一千キロも離れたタヒチ島でも放射性物質が降下していた事実が明らかとなりました。その濃度は、欧州で一年間に許容される被曝量(一ミリシーベルト)の数倍になっています。

 フランスは、南太平洋で七四年までの八年間に計四十六回の大気圏内核実験を実施。その後九六年に核実験を停止するまで百四十七回の地下実験を行いました。仏政府は「放射能汚染はない」と表明しています。報告書は、七四年以降の地下核実験の影響についても新たな調査委員会を設置するよう勧告しています。

 イルソン調査委員長は議会への報告書提出に先立ち、「核実験停止から十年、仏国家とポリネシアとの間で、真実にもとづく対話と正義が打ち立てられる時だ」と述べました。

 九日の地方議会では、仏本土の保守与党と結びつく勢力が調査報告を「反フランス的だ」と非難して退席。報告書は反対ゼロで採択されました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp