2006年2月11日(土)「しんぶん赤旗」

社保庁職員過労自殺訴訟

両親と国が和解

東京高裁


 社会保険庁に勤務していた横森真二さん=当時(23)=が公務による過労で飛び降り自殺したのは同庁が安全配慮義務を怠ったからだとして、真二さんの両親が国に損害賠償を求めた裁判は十日、東京高裁で和解が成立しました。「(約七千二百万円の慰謝料を両親に支払うことなどを国に命じた)昨年九月の甲府地方裁判所の判決を尊重した内容」(両親の代理人)といいます。

 両親を支援してきた「働くもののいのちと健康を守る山梨県センター」の保坂忠史事務局長は「国の安全配慮義務違反を認めた一審判決の重みが控訴後の早期解決の力になった」と話します。

 真二さんの母、鈴恵さん(57)は「このような悲劇が二度と起こらないよう、対策がとられることを願っています」と涙を浮かべて語りました。

 真二さんは一九九七年四月に自殺しました。人事院は、連日の過重な時間外労働でうつ病になったことが原因だとして二〇〇二年十二月、公務災害と認定しています。

 両親は損害賠償を求め〇三年七月、甲府地裁に提訴。同地裁は、両親の訴えを認めて国に損害賠償を求めました。公務災害認定を受けた国家公務員の過労死や過労自殺で損害賠償を認めたのは、全国でも初めてでした。

 国は判決を不服として昨年十月に控訴。一月、裁判長が双方に確認して結審を宣言し、和解協議に入っていました。


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