2006年2月10日(金)「しんぶん赤旗」

「許すな 医療改悪・大増税! 2・9国民集会」での志位委員長の連帯あいさつ (大要)


 九日、さいたま市・スーパーアリーナで開かれた「許すな 医療改悪・大増税! 2・9国民集会」での日本共産党の志位和夫委員長の連帯のあいさつ(大要)を紹介します。


■医療の分野まで「改革」の名による弱肉強食を持ち込む大改悪

 全国からお集まりのみなさん、こんにちは。私は、日本共産党を代表して、熱い連帯のあいさつを申し上げます。(拍手)

 政府・与党が昨年十二月に合意した「医療制度改革大綱」は、人の命を守る医療の分野にまで、「改革」の名による弱肉強食を持ち込む、大改悪の内容が盛り込まれています。小泉首相は、「持続可能な医療制度」をつくるといいますが、公的医療制度を土台から破壊・解体する――これがいまおこなわれようとしていることの正体ではないでしょうか。(拍手)

 私は、二つの大問題を告発したいと思います。

■「現役世代との公平」を口実にしたお年寄りへの負担増を打ち破ろう

 第一は、お年寄りを狙い撃ちにした冷酷無情な改悪だということです。高齢者の窓口負担を二割、三割に引き上げる、七十五歳以上のすべての高齢者から医療保険料を年金からの天引きでとりたてる、長期入院患者の居住費・食費を保険適用外にするなど、情け容赦ない負担増が押しつけられようとしています。

 政府・与党は、「現役世代との公平」を理由にしています。しかし、だれでもお年をめせば病気にかかりやすくなり、治療に時間がかかるようになります。そのお年寄りに現役世代と同じ割合での窓口負担をもとめるならば、家計への負担は何倍にもなります。このどこが「公平」でしょうか。お年寄りの窓口負担は、現役世代より低く抑えて当たり前であり、これこそが本当の公平ではないでしょうか(拍手)。お年寄りと現役世代とを「対立」させ、お年寄りに「肩身の狭い」思いをさせ、必要な医療をうけられなくさせる――こんな卑劣な政治を断じて許すわけにはいきません。(大きな拍手)

■所得格差が命の格差に直結――公的医療制度を土台から解体

 第二に、今回の制度改悪は、それにとどまるものではありません。公的医療制度を土台から解体する、大変な仕組みが盛り込まれています。それは、一言でいえば、「保険証一枚」でかかれる医療を切り縮め、保険が利かない医療を拡大するということであります。

 政府・与党の「大綱」では、医療給付費の伸び率を、経済の伸び率にあわせて抑制する仕組みを盛り込んでいます。これを具体化しようとしたら、お年寄りに負担増をおしつけるだけではたりません。保険が利かない医療――患者に全額自己負担をもとめる医療を拡大することが避けられなくなります。

 「保険免責」――風邪などの「軽い病気」の医療は保険給付から外そうという動きがおこっています。「混合診療」――保険が利く医療と、保険が利かない医療を、セットでおこなえる仕組みが本格的に導入されようとしています。これが広がったらどうなるか。お金を払える人は、保険が認められていない新しい医療技術や新薬を利用できるが、そうでない人は、はじめからそうした高度な医療をあきらめなければならなくなります。

 「保険証」をもって病院にいっても、「軽い病気」には保険が利かない、「重い病気」は保険だけでは間に合わない。こんな日本にしていいのかが、いま問われています。

 いま格差社会と貧困の広がりが、大問題になっています。そのときに医療にまで弱肉強食のシステムを持ち込めば、所得の格差が、命の格差に直結することになるではありませんか(拍手)。「長生きしたければカネを払え。人の命もカネしだい」――こんな暴論がまかりとおる世の中にしてはならない――私は、このことを強く訴えたいのであります。(大きな拍手)

■日本の財界と、アメリカの保険会社・医療業界の要求

 この動きの背景にあるものはなんでしょうか。自分たちの保険料負担を減らしたい大企業・財界と、日本の医療を新たな儲(もう)け口にしようとねらっているアメリカの保険会社・医療業界の要求であります。

 テレビをつけますと、CMで「アリコ」や「アフラック」などアメリカ系保険会社が大宣伝をしています。公的保険が利かない医療が拡大すれば、そういった民間保険の儲け口が広がります。さらに、自分たちは「世界最先端」だと自慢しているアメリカの医療業界の新しい儲け口が広がることになります。

 儲け第一主義を、医療にまで持ち込めばどういう社会になるか。アメリカ医療を見れば、それが一番よくわかります。アメリカでは、世界一高い医療費を注ぎ込んでいます。しかし、平均寿命、新生児死亡率は、主要国のなかで最悪レベルです。公的保険にも民間保険にも入れない無保険の人々が、四千四百万人、国民の15%にもおよび、医療費が払えきれないことによる個人の自己破産が急増しています。病気にかかることが人生の破局に直結する――こんな殺伐(さつばつ)とした社会になることを、日本国民のだれも望んでいないのではないでしょうか。(拍手)

 医療の世界まで財界とアメリカに売り渡す――こんな政治は絶対に許すわけにはいきません。(大きな拍手)

■すべての国民が安心してかかれる医療のために

 みなさん、人の命にかかわる医療を受ける権利は、貧富の格差にかかわりなく、すべての国民が平等にもっている――これが憲法二五条の精神ではないでしょうか。(拍手)

 この精神を生かして、日本の医療制度を立て直すために、私は、三つの提案をしたいと思います。

 第一は、窓口負担の引き上げに反対し、軽減を求めることであります(拍手)。ヨーロッパでは窓口負担は原則無料が当たり前であります。だいたい高い保険料を払ったうえに、三割もの窓口負担をとるというのは、これは医療保険とはいえないではないでしょうか。(拍手)

 第二に、保険診療が可能な医療を、狭めるのでなく、充実させることであります。「保険証一枚」で、どんな病気でも、だれでも安心して医療機関にかかれる社会をつくろうではありませんか。(拍手)

 第三に、この間の国庫負担の削減こそが、医療費の値上げや、高すぎる国保料の元凶となっています。これを計画的にもとに戻させようではありませんか(拍手)。その財源は、庶民大増税ではなく、巨大開発の無駄づかいを一掃し、大企業と高額所得者に応分の負担をもとめることでまかなえます。高すぎる薬価や医療機器に抜本的なメスを入れれば、ここでも財源は生まれます。

 みなさん、社会的連帯の力で、医療改悪をはねかえしましょう。庶民大増税にストップをかけましょう。国民の命と暮らしがひとしく尊重される、憲法二五条を生かした日本を築こうではありませんか(拍手)。私たちも最後までご一緒にたたかいぬく決意を申し上げてごあいさつといたします。(大きな拍手)


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