2006年2月10日(金)「しんぶん赤旗」

主張

基地反対決議の妨害

地方の願い考慮する気もない


 米軍再編をめぐり、防衛施設庁地元調整実施本部が地方の防衛施設局(札幌、仙台、東京、横浜、大阪、広島、福岡、那覇)にたいして、地方議会の基地再編反対決議を阻止するよう電子メールで指示した事実を、額賀防衛庁長官が国会で認めました。

 反対決議妨害の指示には、小泉首相らがくりかえす、地元の「理解を得る」「誠心誠意説明する」は形だけで、実際には、地方の反対を封じ込めて基地再編を強行しようとする強権的姿勢が透けてみえます。

■衣の下によろい

 日本共産党の井上哲士議員が一日の参院予算委員会で明らかにした地元調整実施本部のメールは、「地元議会」が「反対の意見書を議決しそうな動きがあるか否かについて常にウォッチ」し、「動きがある場合には、速やかに本庁担当窓口にお知らせ願いたい」「可能な範囲でそのような議決をしないよう関係者の理解を求める動きをして欲しい」などと指示しています。

 地方議会が住民の願いに沿って基地再編に反対する決議をあげようとするのを監視し、妨害するよう指示したものであることは明白です。額賀長官が八日の衆院予算委員会での赤嶺政賢議員の追及に、メールの存在を認めながら言い逃れようとした、地元との調整が「円満に進んでいくよう配慮したもの」などでは決してありません。赤嶺議員が指摘したように「圧力」そのものです。

 指示には、地方議会が反対決議をあげるのを抑え込むことで、反対を表明している自治体の首長らを孤立させ、あわよくば態度を変えさせるねらいも隠されています。地域振興での優遇などもちらつかせながら、最後は強行という思惑がのぞいています。衣の下によろいを隠して、基地再編を押し付けるやり方に厳しい批判が必要です。

 小泉政権が基地再編で強硬なのは、異常な対米従属のためです。ラムズフェルド米国防長官は、「今度は待ったなしだ」とのべて、在日米軍再編にかんする「中間報告」の完全実施を日本に求めています。小泉政権はアメリカいいなりに、名護市(沖縄県)に海兵隊新基地建設計画を、岩国市に厚木基地の米空母艦載機部隊の移転計画を押し付けているのです。自治体・住民には目がまったく向いていません。日米協議の前には自治体・住民の声も聞かず、日米合意後は結論だけを押し付ける横暴なやり方に、自治体・住民が怒るのは当然です。

 米軍再編の押し付けは、憲法の地方自治の原則違反です。政府は、戦前、中央政府の専断で侵略戦争に突き進んだ誤りを反省して憲法に明記された原則を守るべきです。

 政府のなかには「外交は政府の専管事項」をもちだして自治体・住民の意思をきく必要はないという声もあります。しかし、米軍再編で、平穏と安全を脅かされるのは地域の住民です。住民と住民の利益を代弁する自治体の声を無視して強行するなど許されるはずはありません。

■基地恒久化許さない

 基地のある自治体の多くは、基地をなくして町づくりを発展させたい、航空機騒音を減らしたいと願っています。米軍再編は、この切実な願いを台無しにし、米軍基地の恒久化につながります。

 政府は地方自治体の声をきき、基地再編の押し付けをやめるべきです。地域住民の安全を守り、アジアと世界の平和を守るため、米軍基地再編反対の声を日米政府につきつけていくことがいよいよ大切です。


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