2006年2月6日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

共産党の生活相談

生きる光見えてきた


 「官から民へ」「構造改革」を叫ぶ小泉政治。大企業がうるおう一方で国民の暮らし、雇用は破壊され、増税や社会保障削減による負担増に悩む人が急増しています。国民の苦難解決へ、日本共産党はいま、各地で生活相談活動を展開しています。大阪・大正区、青森市、川崎市から報告します。


■増える失業、借金苦…

■大阪・大正区

 大阪湾に臨む大阪市南西部にある大正区は、人口約七万三千人の小さな区です。造船や鉄鋼、化学など大小の企業が栄え、労働者でにぎわう活気にあふれたまちでしたが、近年、小泉「構造改革」のもとでリストラの嵐が吹き荒れ、倒産、廃業が続出、福祉が削られ命や暮らしが脅かされてきました。

 ここに日本共産党の生活相談所が開設されたのは、矢達幸市議が初当選した一九七九年春で、私が相談所長を引き受けたのは八三年からです。

 生活相談所は月曜から金曜の朝九時から夕方六時ごろまで、毎日二十人前後、多い日は三十人を超す相談者と電話の応対でごった返していて、トイレに入るにも電話機の子機を持って入るほどです。市営住宅にかかわる事務手続き、年金、税金の手続きなどから、深刻なのは生活保護受給の申請相談、そして最近増えているのは若い世代の失業、サラ金、生活苦、結・離婚などの相談です。

 二十五歳の青年は、まともな就職もできず、派遣労働のなかでうつ病になり、仕事ができなくなって相談所に駆け込んできました。診断書を取るとパニック症候群と診断され、生活保護が認定され、いま安心して治療に専念しています。

 お産の相談もあとを絶ちません。妊娠した女性の話を聞くと、多くは相手の男性に仕事がなく、行方不明に。それでも子どもを産みたいと強く望む女性に、私は、入院助産制度を活用して安心してお産ができる手助けをしています。無事出産し、「おばちゃん、本当にありがとう」といって、赤ちゃんを見せにきてくれたときには、私は一番やりがいを感じます。

 無年金者や月約三万円の年金で生活する人たちの相談は深刻です。

 公団住宅の家賃滞納で追い出された老夫婦。話を聞くと、市営住宅の入居資格を持っていたので市とかけあい、入居と同時に生活保護も受けられました。ところが、家財道具が競売にかけられいっさいなし。相談所では党支部に呼びかけ、中古の洗濯機や冷蔵庫など当面の生活用具を即座に集めて届けました。後日、支部長と一緒に日本共産党の話をしにいくと、「こんなに共産党が親切とは思わなかった」と喜ばれ、夫婦で入党しました。

 相談所ではまた、相談者の生活要求をまとめて区に予算交渉するほか、約三百人を対象にした公営住宅の入居相談や納税相談をしています。

 相談所を訪れる人は、わらにもすがる思いで共産党を頼ってきます。私は、その気持ちがよくわかるので、相談者の実態をよく聞き、ともに涙しながら近くの民主的弁護士や診療所、民商などの知恵も借りて解決方法を考え奔走します。しかしそう簡単にはいかず、繰り返し本人を励ましながら再三足を運びます。

 解決を困難にしているのは小泉政治で、家族だけでは背負いきれないところまできています。私は、生活に光が見えた相談者に、苦しみの根源が今の政治にあることを話し、一緒に政治を変えようと訴えています。

 政治に目覚め、生活者を守る党の存在を知った相談者の力は大きく、大正区では九七年から定数一の府議会に小谷みすずさんを送り出すなど、府・市議四議席中二議席を共産党が占めます。来年の府市議選、参院選の躍進のためにも、区民の生活相談所を発展させていきたいと思います。

(恐田光子・日本共産党大正区生活相談所長)

■ドアは常に開いています 市議団控室

■青森

 日本共産党青森市議団(大沢研団長、六人)の控室に初めて相談に来た女性(59)は、いいました。「控室のドアが開いているので入りやすい。何から何までやってくれて助かります」

 議会棟にある党市議団控室のドアは、朝から議員が帰宅する夕方まで、毎日開かれたまま。議会棟が完成した一九七三年から続いています。

 相談に来たと思われる人が、遠慮がちに控室の前に立つと、中から議員が「どうぞ」と声をかけます。不安そうだった表情が、ホッとした表情に変ります。

 多い時は、月百件を超す相談が寄せられます。工藤祥三議員が、除雪相談の電話を受けているかたわらで、村川節子議員が生活保護の相談にのり、議会のロビーでは布施一夫議員が電卓を片手に自己破産の書類作成の援助―。

 「人口千人当たりの青森市の保護率は二十・六九人と全国平均の約二倍。自己破産と生活保護とセットの相談が増えてます」と大沢団長はいいます。

 小学生の娘さんを連れて離婚した女性。収入は十万円ほどしかなく、やむなく姉のところに身を寄せ、娘さんと一枚の布団に寝ているという。「市営住宅に入りたい」という相談でしたが、市営住宅に空きがなく、入居できませんでした。

 舘田瑠美子議員は、敷金や礼金のない安いアパートをいっしょにさがし、生活保護を申請することにしました。

 豪雪の今冬は、「除雪車がこない」「歩道は雪で埋まっている」などの相談が集中。必要な時には現場の写真も撮り、担当課にすぐ連絡、解決するまで市と掛け合う日が続いています。

 生活相談を受け、長いつきあいになることもあります。藤原浩平議員が、生活保護申請の援助をした母子家庭は、子どもの大学進学、就職など節目節目で連絡してくれました。

 自分のことで相談したことをきっかけに、「生活に困っている人がいる」と控室に連れてきてくれる人、相談をきっかけに「しんぶん赤旗」を購読し、選挙の時応援してくれる人もいます。

(青森・猪股文夫)

■耐震偽装の現場で

■川崎

 昨年十一月十七日、マンションの耐震偽装事件が発覚しました。

 私は、川崎市から報告を受け、事件現場が活動している地域であること、市議会の担当委員会(まちづくり委員会)の委員長をしていることから、居ても立ってもいられませんでした。

 早速、仁比聡平参院議員、はたの君枝、大森猛氏と一緒に、わずかな結びつきを頼りに、地元支部の協力も得ながら、被害住民の中に飛び込んでいきました。

 被害住民は、こちらの申し出に快く応じてくれました。心のきずなを深めた住民同士から、「この場所で暮らしたい」という願いをはじめ、いろいろな要望が出されました。中でも、「莫大(ばくだい)なローンの返済を何とかしたい」というのが一番の要望でした。

 この願いを一歩でも前進させるために、私が心がけたことは、どんな些細(ささい)なことでもつかんだ情報をすぐに提供することです。そして、出された要望については、実現に向け全力で取り組むことです。

 そこで一番頼りになったのが、マンション問題に長年取り組んでいる日本共産党中央委員会の方からのアドバイスです。国民の苦難に地道に取り組んでいる党組織の力が、今回ほど頼もしく思えたことはありません。

 被害住民の間では、自殺を考える人もあると聞き、どれほどの不安と苦痛の中で暮らしているのか、考えただけでも涙がこぼれます。時間の経過がさらに事態を深刻にします。この間の取り組みの到達点は、現実の生活再建を最優先に考えなければ、どんな提案も問題解決には結びつかないことを明らかにしました。

 この視点から、国、自治体の公的補償と関係業者・金融機関の責任を強く求め、同時に、解決策を国民に知らせ、共感を広げるために、精いっぱい取り組んでいきたいと思います。(佐野仁昭・川崎市議)


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