2006年2月6日(月)「しんぶん赤旗」

米軍再編の舞台

8基地で落札率97%

施設庁談合 「工事すべてに疑い」


 在日米軍の再編・強化の舞台となっている主要な八つの米軍基地・地域で、防衛施設庁発注の高額工事を、大手ゼネコンなどが平均して97%を超える高い落札率で受注していることが五日までにわかりました。東京地検特捜部が強制捜査に乗り出した防衛施設庁をめぐる談合事件では、すでに岩国飛行場の移設工事などで官製談合の疑いが浮上。ゼネコン関係者は「すべての工事で談合の可能性がある」と指摘しており、徹底した解明が求められます。


■本紙調査で判明

 本紙が調べたのは、三沢(青森)、横田(東京)、座間、横須賀、厚木(いずれも神奈川)、岩国(山口)、佐世保(長崎)、沖縄の八つの米軍基地・地域でおこなわれた同庁発注の工事。

 二〇〇一年度から〇四年度までに発注された工事件数は千三百四十六件で、落札総額は約二千七百九十八億円。予定価格総額二千八百七十億円に対し、落札率(予定価格に占める落札額の割合)は平均97・5%となっています。

 すでに官製談合の疑いが明らかになった岩国基地の移設関連工事(総額二千四百億円)についてはこの四年間で七百六十七億円。もっとも高額だったのは、滑走路移転にともなう地盤改良工事(〇三年度)で、家宅捜索をうけた鉄建建設などが四十七億二千五百万円で受注しています。

 工事総額がもっとも多いのは米軍基地を多数抱える沖縄です。総額一千九十億円で平均落札率は98%です。

 原子力空母の配備が発表された横須賀基地の工事総額は二百四十四億円で平均落札率は98%。なかでも原子力空母受け入れの桟橋整備工事と指摘されている「F地区桟橋整備工事」は家宅捜索をうけた間組と西松建設、飛島建設のJV(共同企業体)が二十七億円、99・2%の高い落札率で受注しています。

 談合の疑いが強まっている米海軍佐世保基地での工事総額は百九十億円で、平均落札率97・3%。この中には五洋建設などのJVが落札した四十億円にのぼる岸壁整備工事も含まれています。


■解説

■二重の税金むだ遣い

 官庁が発注する公共工事の原資は国民の税金です。談合は、公正な競争をゆがめ、業者が高値で工事を落札することです。それは、税金の盗みどりであり、被害はそのまま国民に直結します。

 防衛施設庁が発注する米軍施設内での工事で使われる予算の大半は、日米地位協定上、本来日本政府が負担する必要のない「思いやり予算」です。それ以外の予算も第二の「思いやり予算」といわれるSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関連経費で占められています。本来日本が負担する必要のない工事が談合によって高値で行われているというわけで、税金の二重の無駄遣いです。

 しかも、岩国基地の滑走路移設工事などは在日米軍再編にともなう基地強化に直結するものです。それは米軍機による騒音被害などをいっそう広げるばかりでなく、米軍基地の恒久化につながるものとしてきわめて重大です。

図

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