2006年2月5日(日)「しんぶん赤旗」

「長期戦争」へ同盟国動員

米国防計画見直し

太平洋を増強

6空母・潜水艦6割


 【ワシントン=山崎伸治】米国防総省は三日、この先二十年を展望し、米軍の戦略や態勢などを再検討した二〇〇六年版「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)報告を公表しました。この報告は、同盟国にたいして、テロとの「長期戦争」への関与を求めながら、「静的同盟から躍動的パートナーシップ」への転換を迫っています。

 報告は戦略見直しの「四つの優先分野」として、(1)テロリスト・ネットワークを打ち負かす(2)本土を何重にも防衛する(3)中国など「戦略的岐路に立つ国家」の(進路の)選択を方向付ける(4)敵対国や非国家組織が大量破壊兵器を獲得し、使用するのを阻止する―ことを掲げています。

 「テロとのたたかい」という「長期戦争」に対応するため、「冷戦時代の組織と思考」に「二十一世紀に必要な変革」をもたらすと強調。米国の陸、海、空、海兵隊の四軍相互や米政府の他省庁、同盟国などとのいっそうの協力強化を打ち出しました。

 兵力配置見直しの一環として、太平洋への兵力配備の増強が盛り込まれています。米海軍の空母は十二隻から十一隻に削減されますが、太平洋地域では五隻から六隻に増強され、潜水艦では六割を回すとしています。

 同盟国間の軍事関係の強化では、北大西洋条約機構(NATO)とともに太平洋地域を重視。「日本やオーストラリア、韓国、その他諸国との同盟が、二国間あるいは多国間による域内の関与と、共通の安全保障上の脅威に対処する協力行動を促している」と評価しています。日本にとっては、自衛隊の米軍との一体化をいっそう進める内容になっています。

 ▼QDR 「四年ごとの国防計画見直し」の略語。一九九六年制定の「軍事戦力構造見直し法」にもとづき、国防総省が四年に一度行う国防計画の見直し。議会に報告されます。米国軍事戦略の柱となる文書で、これまで九七年、二〇〇一年に発表されています。毎年の国防予算はQDR実施の方向で練り上げられます。


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