2006年2月3日(金)「しんぶん赤旗」

自治体が「靖国・遊就館」展示を後援

教員・市民ら撤回求める

“侵略戦争賛美にお墨付き”


 「靖国神社遊就館が、パネルになってやって来る!」とうたった「もうひとつの戦争展」が都市部を中心に開催されています。遊就館の展示は先の侵略戦争を「アジア解放」のための正義の戦争だと美化し、正当化しています。この展示会を地方自治体や教育委員会が後援したことに撤回を求める運動が起こっています。

 戦後六十周年の昨年二〇〇五年は、分かっているだけで、東京・世田谷区、静岡県の浜松市、掛川市、愛知県の名古屋市、豊橋市、神戸市、岡山市、広島市、福井市、長崎市で開催。いずれも八月の終戦記念日を中心に七月末から九月上旬に集中して開かれました。神戸市では十二月十六日から十八日にかけて開催しています。

 神戸市での展示会は、戦争パネル展実行委員会(代表・百合草三佐雄)が主催し、兵庫県、兵庫県教育委員会、神戸市、神戸市教育委員会が後援しています。「もうひとつの戦争展 靖国神社 移動遊就館 日露戦勝100周年・終戦60周年」と銘打ち、遊就館のパネル三十五枚などを展示。兵庫県近衛会元会長が講演しています。

 同実行委員会は、県・市教育委員会が後援していることを示した案内書を、同展パンフレットを添えて各県立高校の校長あてに送付。「貴校職員、生徒様方にご紹介賜りますれば幸いかと存じます」と求めました。

 これに対し、県内の各団体が侵略戦争を肯定、賛美する靖国史観に地方自治体がお墨付きを与えるもので、国・自治体の宗教活動を禁じた憲法二〇条に反するとして、後援の取り消しを要求しました。

 兵庫教職員組合と県高等学校教職員組合は委員長連名で、「学校教育の場に憲法・教育基本法に反する内容を教育委員会のお墨付きのもとに持ちこむことにほかならず、平和を願う県民の願いに真っ向から反する」と指摘。後援の取り消しや案内が行われたかどうかの調査、後援に至った経過を明らかにすることなどを要求しました。

 県母親大会連絡会は、「過去の戦争を『自存自衛』の戦争と規定し、日本の侵略戦争を『正しい戦争』だったとの価値観を持つ靖国神社遊就館の展示品を展示する活動に県自ら後援をし、その活動を支援することは、日本国憲法に違反する重大な過ちだと判断せざるを得ません」と県知事に抗議。後援を取り消すよう強く求めました。

 日本共産党神戸市議団も昨年末、神戸市と市教育委員会に後援の取り消し、今後後援しないことなどを申し入れました。これに市と市教委は一月二十七日、「後援取り消しはしない」と回答しています。

 「平和のための戦争展」交流ネットワーク(事務局・さいたま市)の事務局担当、二橋元長さんの話 黙過できない状況です。「兵庫で起きた出来事」として見ているわけにはいきません。兵庫県や神戸市などへ抗議・要請するとともに、私たちの「戦争展」をはじめとする平和のとりくみを、もっともっと大きく広げることが急がれます。


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