2006年2月3日(金)「しんぶん赤旗」

「小泉改革」の破たん

根源つく共産党質問

国会論戦序盤


 「日本は格差社会になりつつある」66・2%(「読売」)――一月末の各紙の世論調査で、「小泉改革」への批判、疑問が強まっています。通常国会序盤の論戦でも、「改革」を推進してきた与党や競ってきた民主党からも「小泉改革」の「光と影」を指摘する声も出ています。しかしこの問題で根源をつき、打開の方向を示しているのはどの党でしょうか。


■耐震偽装問題

 「規制緩和の一環として、建築確認申請を民間の指定確認機関にゆだねたことが本当に正しかったのか」。一月二十四日の参院代表質問で民主党議員がこうのべました。

 国民の命を危険にさらす耐震偽装事件の根本に、一九九八年の建築基準法改悪があることを指摘したものです。

 ところが、この法改悪に、自民、公明両党だけでなく民主党なども「枠組みを規制緩和に向けてつくっていくという上では大変にすばらしい」(民主党議員)と賛成していました。「手抜き検査になる」と強く警告し、法改悪に反対したのは日本共産党だけです。

 衆院予算委員会(二十六日)でも、民主党議員が法改悪を批判しました。その際、読み上げたのは日本共産党の中島武敏衆院議員(当時)の質問。「安かろう悪かろうという検査になりはしないか。極端な場合を言えば、手抜き検査と言うことが横行するのじゃないか」との追及を、賛成した側が取り上げたのです。

 日本共産党の市田忠義書記局長は、「問題の根底に、一九九八年の建築基準法改悪で、建築確認という国民の命にかかわる重大な仕事を民間まかせにした規制緩和があったことは明白。そのことがモラルの退廃まで引き起こした」(二十五日参院代表質問)と追及。抜本的な被害者救済策や再発防止策を提案しました。

 穀田恵二国対委員長も、衆院予算委員会(二十六日)で「規制緩和万能論にもとづいて、建物の安全まで“もうけ第一”の世界に落とした政府の責任は重大だ」と小泉首相をただしました。

 建築基準法改悪に最初から反対し、耐震偽装を根源からついたからこそできた追及であり、提案でした。


◆市田書記局長が提案した被害者救済、再発防止策◆

 ▽ヒューザーなど関係者の第一義的責任は当然。同時に、住宅ローンを貸し付けた金融機関、ゼネコン、ディベロッパーなど不動産業界の負担と協力で、被害者の負担を軽減する。

 ▽不足する費用については政府が補償する。

 ▽耐震診断、改修への助成制度を改善・拡充し、希望するどのマンションでも行えるようにする。

 ▽建築基準法の抜本的見直し、建築士が建築主や施工主の言いなりにならないよう建築士法などを改正する。

 ▽民間まかせの検査・確認体制を見直し、行政が検査・確認業務に実質的な責任を負えるよう体制を強化する。


■ライブドア問題

 自民、公明の与党はライブドア事件の火の粉を払うのにおおわらわです。「あしき拝金主義」(公明党・神崎武法代表、一月二十四日の衆院本会議)と社会風潮のように描き、「ルール違反にどう制裁するかの問題」(自民党・金子一義議員、二十六日の衆院予算委員会)で片付けようとしています。

 これに対し、日本共産党の志位和夫委員長は、「事件の根本にあるのは、自民党政治が進めた規制緩和路線ではないか」(二十四日の衆院代表質問)と追及。株価を上げるため「何でもあり」の“錬金術”―株式分割、株式交換などの手法―を可能にした一九九九年、二〇〇一年の商法「改正」を問題にしました。

 「自分の進めた規制緩和万能路線がライブドア事件の土壌をつくったとの認識と反省があるのか」(志位氏)との追及がよほど痛いのか、小泉首相は「事件と小泉改革を結びつけるのは心外だ」と取り繕うのに必死でした。

 民主党の批判の矛先は、「さまざまなルールをつくる人間が一つの企業に利用されたり、広告塔になることはあってはならない」(原口一博議員、二十六日の衆院予算委員会)というように堀江貴文容疑者と自民党との関係にたいしてでした。

 小泉内閣の規制緩和路線にたいしても「規制緩和自体は悪いとは思わない」(前原誠司代表、二十九日の民放番組)、「規制緩和はいい。しかし、それがゆきすぎた中で(事件は)おきている」(鳩山由紀夫幹事長、同NHK番組)などと、推進では与党と変わりがないことが浮き彫りになっています。

■「格差拡大」

グラフ
グラフ

 「格差社会」が問題になるなか「格差拡大は誤解だ」とその事実すら否定する小泉首相。

 日本共産党は、生活保護世帯や貯蓄ゼロ世帯の増加、不安定雇用(パート、派遣、請負)の増大など具体的データを示して反論。格差拡大の背景に「派遣労働の自由化など小泉政権が進めた規制緩和万能路線がある」(志位和夫氏、一月二十四日の衆院代表質問)ことを明らかにしました。

 雇用労働者に占める非正規労働者の割合は、一九九七年の23・2%から、二〇〇四年には31・4%に急増しました。この間に、一九九八年、〇三年の二度にわたる労働基準法改悪で、有期雇用の上限が原則一年から三年に延長。〇三年の労働者派遣法の改悪で、製造現場にも派遣労働を解禁、派遣期間の上限が原則一年から三年に延長されています。これらの改悪すべてに反対を貫いたのは、日本共産党だけです。

 民主党は「小泉改革」について、「社会の格差を拡大した」「光と影がある」(前原誠司代表)として、非正規雇用の拡大と正社員との賃金格差の拡大などを指摘しました。しかし、根本にある労働の規制緩和路線への言及はありません。二度にわたる労基法改悪に賛成するなど、規制緩和では小泉「改革」と同じ方向です。


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