2006年2月2日(木)「しんぶん赤旗」

政官業癒着・天下り温存

これで何が「改革」か

防衛施設庁官製談合で浮き彫り


■国民の税金食い物

 防衛施設庁の官製談合事件は、空調設備工事をめぐる入札妨害にとどまらず、ゼネコンもからむ大型事件に拡大しています。

 事件は、退職した技術系職員の再就職先確保のため、受注業者に天下りを受け入れさせ、その見返りに、仕事を業者に割り振っていたというものです。天下りのトンネル機関として外郭団体を作り、業者に天下りした元職員が事実上発注を割り振っていたという報道もあります。

 個々の公務員が発注にあたっての便宜の見返りにわいろや供応を受ければ、贈収賄を伴う汚職事件として処罰されます。官製談合は汚職事件にはなりませんが、役所の機構を使って天下り先確保のため発注が操作されるのですから、その本質において違いはありません。食い物にされるのは国民の税金です。組織的に談合が繰り返される仕組みそのものが税金の盗みどりです。

 防衛庁では一九九八年、装備品の納入をめぐる水増し事件がありました。官製談合事件では最近も道路公団や成田空港公団での事件が発覚しました。こうした政官業の癒着を断つことこそ、本当の改革です。

 談合によって官庁の発注がゆがめられれば、正当な競争が行われず、業者は予定価格いっぱいの高値で落札し、不当な利得を得ることも可能になります。業者が天下りを受け入れ、官製談合に従うのもそのためであり、官製談合は政官業の癒着そのものです。

 防衛施設庁は、防衛庁の外局として、自衛隊や在日米軍の使用する施設の取得、工事、管理などの全般を所管しています。年間の予算は約五千億円、うち二千億円を建設、施設工事にあてています。同庁の談合体質のもとで、そのほとんどが不当な形で支出された疑いが濃厚です。

 官製談合の根を断つためには、まず高級官僚の天下りを規制することが不可欠です。現在は離職後二年間民間企業への天下りが規制されているだけでその後は野放しです。日本共産党が再三法案を提出し規制を求めてきたように、一定以上の地位にある役職員については、在任時の業務とかかわりのある企業については天下りを禁止すべきです。

 同時に、天下りを求める官庁に癒着し、談合に応じることで巨額の不当利益を得てきた企業や、その陰で暗躍する政治家の責任も問われます。施設庁事件でも大手ゼネコンの関与が取りざたされているほか、これまでの官製談合でも、日立製作所、東芝、三菱電機など財界の中枢を占めるような企業が関与しています。これらの企業の発注官庁の大臣や与党の政治家への企業・団体献金を禁止することをはじめ、政官業癒着の根本を正す対策を取ることこそいま求められています。

■小泉「改革」の責任

 小泉内閣が「構造改革」をいいながら、こうした政官業の癒着を正すための改革は何もやってこなかったことが今度の官製談合を通じて改めて浮き彫りになりました。

 額賀防衛庁長官はかつての防衛庁水増し調達にも関与し辞任した経歴を持ちますが、今度の事件に際して、「なんの反省もなく、こういう事件を起こす原因を除去せず、今日まできた」と認めています。この発言こそ、小泉内閣が国民がほんとうに望む改革には無策であったことを証明するものです。

 国民にとって百害あって一利なしの小泉「改革」をやめさせ、本当に「ルールある経済社会」を目指す改革を進めることこそ、繰り返される官製談合事件を根絶する最大の保障といえるでしょう。(竹腰将弘)


■官製談合根絶へ 日本共産党の提案

■天下りと企業献金禁止こそ

■05年総選挙政策から(抜粋)

 官製談合の根源になっているのは、高級官僚などの天下りの横行です。現行では、離職後二年間、民間企業への天下りが規制されているだけで、それ以降は野放しです。公団の役職員については、何の規制もありません。

 日本共産党は、十年前から、特殊法人を含めた天下り規制法案を提出してきました。事件が起きたときだけの「自粛措置」にとどまらず、官公庁や公団などの一定以上の地位役職員については、在任時の業務とかかわりのある企業等への天下りを法律で禁止します。

 公共工事の発注者である大臣を含め、議員・政治家が受注企業から献金を受け取っていることも、談合が根絶できない原因です。橋梁工事の談合組織参加企業からの自民党への献金は、十一年間で十六億円にものぼり、小泉内閣の大臣・副大臣のうち七人が、これらの企業から政治献金を受け取っていました。

 本来、企業献金は禁止すべきですが、少なくとも、国民の税金還流にあたる官公需受注企業からの献金は、ただちに禁止します。

■国会に提出してきた天下り禁止法案のポイント

 日本共産党は九六年十一月に、「天下り禁止法案大綱」を発表して以来、繰り返し同法案を国会に提出してきました。

 法案の特徴の第一は、天下り制限の対象となる公務員と天下り先の範囲、制限期間を拡大していることです。

 現行法は、国家公務員だけを対象に特定の営利企業への天下りを二年間だけ制限するというもので、事実上天下りを野放しにしています。法案は、国の行政機関の職員に加え、特殊法人の役職員も天下り制限の対象とし、また、国の行政機関等と密接な関係にある営利企業はもちろん、特殊法人、認可法人、外郭団体及び業者団体への天下りを期限を定めず制限することとしています。

 第二は、天下りが制限される国の行政機関等と天下り先との密接な関係を監督・契約関係でとらえていることです。現状は、離職する国家公務員本人が天下り先の企業にかかわる事務に過去五年間携わってさえいなければ、基本的に天下りは承認されます。法案は、離職前五年間に在職していた省庁が監督関係や契約関係を持つ営利企業等に対しては、離職者本人が職務上密接な関係を持っていたかどうかにかかわらず、天下りを制限することにしています。

 第三に、天下り先を次々と渡り歩き高額な退職金を手に入れる渡り鳥の禁止や、特殊法人役員の法外な退職金を国家公務員並みに引き下げる措置をとっています。

 第四に、民主的に構成、運営する国家公務員等離職者就職審査委員会を設置して、天下りを厳正にチェックするとしています。


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