2006年1月30日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

生徒・保護者・教職員で学校づくり

話し合い嫌いだったけど…


 高校生たちが、保護者や教職員とともに楽しい学校をつくっていく――。そんな学校づくりをすすめている東京都、神奈川県、長野県、北海道の5つの高校の生徒たちがパネリストになったシンポジウムがこの1月、東京で行われました。開かれた学校づくり全国交流集会での、高校生が語る「わが校の3者(生徒、教職員、保護者)協議会」。高校生たちは、教師や父母、研究者ら200人を前に堂々と、生きいきと語りました。


■パネリスト

 ▽東京大学教育学部附属中等教育学校(東京都) 生徒会長(二年、女子) 生徒会公報局長(二年、女子)

 ▽県立辰野高校(長野県) 元生徒会長(大学二年、男子)

 ▽道立美瑛高校(北海道) 前生徒会長、(三年、男子)

 ▽私立大東学園高校(東京都) 前生徒会長、(三年、男子)

 ▽私立旭丘高校(神奈川県) 前生徒会長(三年、女子) 生徒会長(二年、男子) 生徒会副会長(二年、男子)


■高校生がシンポ

■机といすを「コ」の字形に

 東大附属・生徒会長 昨年の6月に行われた3者協議会は、「学びの共同体ってなあに?」がテーマでした。

 私たちの学校では4月から、生徒が主体の授業をしようと、すべての教室の机といすを「コ」の字形にしています。生徒を男女4人のグループに編成し、授業中グループで考えさせる方法もたくさん取り入れています。

 3者協議会では、先生の方から、新しい授業のやり方がどんなものか、これまでの経過などについてお話があり、生徒、保護者で熱心に話し合われました。

 10月は「ルールとマナー」についてです。登下校の時間についてや、全校集会のあり方などについて話し合い、引き続き3者で話し合うことにしています。

■ファッションショー

 辰野高校・元生徒会長 制服が自由な学校ですが、私が1年のとき、保護者から「標準服はあった方がいい」という要望がありました。3者協議会で話し合い、標準服を決めることになりました。生徒会では生徒の関心を高めるためにファッションショーをしましたが、僕も参加して恥ずかしかったです。そのとき、こうやって決めていけるんだと思いました。

 また、僕らの下の学年のクラスが、5つから4つに減らされることになり、知事に意見のメールを送ったら県の教育次長さんたちが3者協議会に参加しました。そして学級数が5クラスにもどりました。3者協議会があったからだと思います。

■町長や商工会の方々も

 美瑛高校・前生徒会長 僕らの学校は、美高フォーラムといっていて、生徒、教職員、保護者、地域の人たちの4者が参加します。話し合いは7、8人の分散会にわかれ、生徒会が司会をするんですね。

 昨年11月には、「どうする美瑛高校」をテーマに、町長や商工会事務局長、PТA会長、生徒会長らによるパネルディスカッションもしました。立場が違ういろいろな人たちの意見が聞けてためになります。生徒の方も普段、教室で話さない人たちも話すことができてうれしいですね。

■授業アンケートをとって

 大東学園・前生徒会長 3者協議会は年2回行っています。前々回は身だしなみ規定の変更や、授業アンケートで生徒からわかりやすいという声があがった教科の先生を呼んで、どうやって生徒の心をつかもうとしたのか、について話してもらいました。

 前回は、それまで白しか認められていなかった正装時のワイシャツについて、青ワイシャツも認めてほしいと要求し、3者協議会で論議して認められました。生徒の参加も増えており、3者協議会を発展させていきたいと思います。

■幅広い意見や本音も

 東大附属・生徒会広報局長 3者協議会は、いい場です。中等教育学校なので、生徒は1年から6年までいて、幅広い意見がたくさん出されます。本音で話せるし、先生や保護者の意見も聞けていいです。

■カーテンつけてもらった

 旭丘高校・前生徒会長 生徒会として全学協議会(生徒、教職員、保護者、同窓会)に参加してきました。高校生活を思い返してみて、わたしが一番心に残っているのは全学協議会のことです。初めは学校の言う通りにやっていれば注意されることもない、と思っていたような全学協議会に無関心な生徒でした。

 でも、3回出席した全学協議会では生徒の要求が実現されました。体育館で練習する卓球部から、ボールがみえにくいというので黒いカーテンをつけてもらいました。いじめにあったり、つらい体験をした生徒の相談にのるカウンセラーも実現しました。

 学校は先生や保護者と一緒にやっていくものです。私たちが積極的に主人公になっていかなければ学校はつくれないと思いました。憲法や教育基本法、子どもの権利条約のことも知ることはできなかったと思います。

■伝えれば聞いてくれる

 旭丘高校・生徒会長 僕は話し合いが一番きらいでした。自分の思いを言葉で伝えるのはとても苦手でした。言葉に出して言う必要も無いと閉じこもっていました。でも、協議会で自分の思いをちゃんと伝えれば、相手も心を開いて、要求も聞いてくれることだってあります。協議会にいきたいという人が多くなれば、いろんな意見も出るし、話し合いも活発になっていいのではないかと思います。

■過ごしやすい環境できる

 旭丘高校・副会長 全学協議会を通じて、生徒がより過ごしやすい環境にできると思いました。他の学校の発言から、うちの学校でも真似したいことがあったのでやりたい。


■ルール守れば携帯OK

 会場参加者の発言(埼玉県立高校の女子生徒) 私たちの学校は、3者というより4者です。生徒、学校、保護者、地域ですね。携帯電話の持ち込みが禁止されていましたが、マナーモードを守るか、電源を切るかのルールを守れば、という生徒からの要望で試行期間も設け、大丈夫ということで持ち込みができるようになりました。

 先生の方から「ルーズソックスを禁止した方がよいのではないか」という要望が出されています。生徒会としては、禁止にならないようにしたいと思っています。

■生徒も変わっていく

 シンポジウムのコーディネーター 東大助教授、勝野正章さんの話 3者協議会に参加して、こんなことやっても意味ないだろう、と思った自分も変わっていったという高校生の発言は印象的でした。学校が変わっていくなかで生徒も変わっていく――。開かれた学校づくりは生徒が軸、生徒の成長が一番なんだということが改めて確認できました。


■お悩みHunter

■病弱な母と2人暮らし展望が見えない

Q父を高校のときに亡くした私は、病弱の母と二人暮らしです。私が面倒をみていますが自由がないくらい。彼女ができたこともありますが、母のことがあってか離れていきました。こんな生活がずっと続くのかと思うと暗い気持ちになります。母を見るのは私しかいません。どう展望を見いだしていったらいいのか…。(男性、34歳。埼玉県)

■介護保険など利用してみては

Aじつはわが家にも、身体の不自由な祖母がいますので、あなたの苦労はよくわかります。

 あなたの場合、ずっとお母さんと二人暮らしをしてきたわけですから、自分が面倒を見なければならないという責任感が強くあるのでしょう。今までがんばってきたあなたには頭が下がります。

 しかし、これからもすべてを一人で背負っていくには無理があるように思います。

 お母さんの年齢やお体の具合にもよりますが、介護保険や民間の介護施設を利用してみてはどうでしょうか。お金の問題などもあります。相談員と話し合って、予算に合わせていけばいいのではないかと思います。

 私の祖母も、介護保険で一日だけのデイサービスや一週間くらいのショートステイを利用しています。施設に預けている間は安心して仕事ができます。ずっと祖母のことを気にしていたら、仕事にならないし、精神的にもまいってしまいます。

 私の祖母は人見知りが激しいので、はじめは施設に行くのをすごく嫌がっていましたが、すぐに慣れてくれたようです。あなたのお母さんも、一人になるのは不安があると思いますが、少しずつ利用していけばいいのではないかと思います。

 将来のことを一度に決めなくても、とりあえず自分の自由になる時間を確保していかれたらいいのではないでしょうか。


■第41代日本ウエルター級チャンピオン      小林 秀一さん

 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。


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