2006年1月27日(金)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

耐震偽装 早さ甘さ競い安全検査できるか

衆院予算委 穀田議員が指摘


 二十六日の衆院予算委員会で、日本共産党の穀田恵二議員は、耐震強度偽装事件の背景に、コスト削減競争を加速させ、建築確認を民間に丸投げした「規制緩和」があると指摘。規制緩和万能路線の破たんを浮き彫りにしました。

 穀田議員 安全を担保すべき建築行政にまで規制緩和を持ちこんだことに問題はないと考えているのか。

 小泉首相 民間開放したことが偽装をもたらしたと、一概にいうのは早いんじゃないか。

■責任欠く首相答弁

 首相の答弁は、みずからがすすめてきた規制緩和万能路線が破たんしていることへの自覚と責任を全く欠いたものでした。

 耐震強度偽装事件の大本には一九九八年の建築基準法の改悪があります。同法改悪に唯一反対した日本共産党は「建築士の独立性が確保されておらず、建築主や建設業者の圧力がまかり通る可能性がある」「営利を追求することから競争が激しくなる。その結果“安かろう悪かろう”という検査にならないか」と指摘していました。

 これらの「警告が不幸にも的中した」(穀田氏)のが今回の事件でした。

 偽装事件の背景について穀田氏は、事件発覚後の建築雑誌『日経アーキテクチュア』(二〇〇五年十二月二十六日号)のアンケートに「八人に一人が偽造・偽装したことがあると答えている」ことを紹介。コスト削減が優先され「安全性がないがしろにされている事態が広範にある」と告発しました。

 穀田氏 (偽装は)姉歯氏一人のことだと思うのか。

 首相 それだけの人が偽装したことがあるというところをみると、ほかにあっても不思議ではない。今後また起こるかもしれない。

 うなずきながら聞いていた首相はこう答えました。

■道義観ですまない

 しかし、再発防止策については「道義的、倫理的使命を自覚してほしい」とのべるだけ。穀田氏は「単なる道義観ではすまない。コスト削減圧力がかかっていることが問題だ」と指摘しました。

 政府は一九九六年二月の日米首脳会談で、アメリカ側に住宅や建材などの輸入促進のための「規制緩和」を約束。同年三月、「住宅建設コスト低減のための緊急重点計画」を発表し、建築基準の改定を決め、九八年の改悪建築基準法に盛り込んでいます。

 穀田氏 政府は安全性が二の次という風潮がでているときに、アメリカや財界の要望にこたえてコスト削減を進めてきたのではないか。

 首相 コスト削減の努力はこれからもしていかなくてはいけない。

 穀田氏 コスト削減一般を論じているのではない。安全をないがしろにするいきすぎたコスト削減が問題なのだ。

 首相はいきすぎたコスト削減が事件の大きな要因になっていることに、何の反省も示しませんでした。

 穀田氏は、昨年十二月七日の衆院国土交通委員会の参考人質疑で、民間検査機関最大手の日本ERIの社長が「検査をきびしくすると申請者が別の機関に行く」と答弁したことを取り上げ、「安全を検査すべき検査機関が、検査の時間が早いとか、甘いということを競ってどうして安全が担保できるのか」ときびしく批判。競争原理の導入で安全規制が緩められていることを示しました。

 最後に穀田氏は「規制緩和万能論で“競争すればすべてうまくいく”として建物の安全まで“もうけ第一”の世界に放りこんだ政府の責任は重大だ。安全は国や公が責任をもつということに転換すべきだ」と強く要求しました。


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