2006年1月24日(火)「しんぶん赤旗」
市民は「新基地ノー」
政府は“現実”直視を
沖縄・名護市長選
米軍キャンプ・シュワブ沿岸域への新基地建設を争点にした二十二日投・開票された沖縄・名護市長選で、条件付きで新基地受け入れに含みを残すといわれる島袋吉和氏が当選したのをうけ、政府内には「われわれが進めてきた在日米軍再編が評価されたと受け止めている」(安倍晋三官房長官)との声もあがっています。しかし選挙期間中の論戦や市民の世論調査に照らせば、到底“評価された”とは言えません。
■出口調査で8割が反対
選挙結果をうけ、地元の「沖縄タイムス」(二十三日付)は「(沿岸案に)市民の抵抗感は強く、選挙結果がそのまま受け入れ推進に結び付くとは言えない」と解説しました。「朝日」の出口調査では、名護市辺野古周辺への新基地建設について、「反対」と答えた人は79%に達しました。
今回当選した島袋氏は、県民・市民に新基地建設を押し付ける政府・与党の全面的バックアップをうけたものの、日米両政府が合意した沿岸案には反対を表明。当選後の報道各社のインタビューでも、沿岸案への姿勢について「地元、知事、現市長と相談し反対していく」とのべました。
一方、島袋氏は沿岸案の修正について「地元の納得が得られるなら政府との協議に応じる」とものべています。しかし、政府、与党ともに沿岸案の大幅修正は困難との立場は崩していません。
島袋氏が、新たな振興策と引きかえに、政府との“協議”で新基地建設を受け入れるようなことがあれば、市民の強い批判は免れません。
■全候補者が沿岸案拒否
今回の選挙では、かつて辺野古沖への新基地建設を条件付きで容認した我喜屋宗弘氏が「新基地建設ノー」の立場で立候補し、党派を超えた新たな共同が前進しました。
当選には至りませんでしたが、我喜屋氏に投じられた一万一千票余は、島ぐるみのたたかいで、新基地建設を撤回させる運動を進める、大きな足がかりとなりました。
政府は、市長選に立候補した三氏とも沿岸案に反対を表明した“現実”こそ直視すべきです。(沖縄県・浅野耕世)