2006年1月23日(月)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄市議立入拒否

許せない米軍の占領者的横暴


 米空軍嘉手納基地(沖縄県沖縄市、嘉手納町など)は、F15戦闘機墜落事故(十七日)に抗議する沖縄市議会抗議団の一員である池原秀明議員(日本共産党・反戦地主会事務局長)の立ち入りを拒否し、同市議会のつよい怒りをかっています。市議会は、二十三日に臨時議会を開き、抗議決議を可決する予定です。

 米軍機の墜落は、県民のいのちを脅かす重大問題です。その抗議団の一員を、手前勝手な理由で拒否するなど許されることではありません。

■逆らう者は敵視

 米側は、市議会副議長あて文書で、池原市議は、「一九八二年九月二日に、戦闘支援群司令官によって永久的に立ち入りを拒否されている」とのべ、それが立ち入り拒否の理由のように言っています。しかし、その根拠は明確にしていません。

 当時の状況から、拒否の理由は、池原氏が反戦地主として米軍の土地とりあげに徹底してたたかったことにあるとしか考えられません。

 池原氏は、嘉手納基地の滑走路北側にある嘉手納弾薬庫地区内に土地をもっています。戦後、米軍に接収され、本土復帰(七二年)のさいも強制使用されましたが、豚舎を建て養豚を営みました。八二年に強制使用期限が切れることから、前年から牛舎建設計画をたて、建築確認申請を出し正式に許可されました。八二年以降の使用契約を求める那覇防衛施設局の圧力を拒否し、合法的に牛舎を建てたのです。土地は完全に池原氏に返還され、米軍土地収用法は適用できなくなりました。

 この池原氏のたたかいは、自分の土地を米軍には使わせないという当然の権利の行使です。憲法二九条は、「財産権は、これを侵してはならない」と定めています。財産を守り、平和のうちに生きたいと願って土地取り上げに反対したのは、憲法に保障されたきわめて正当な行為です。

 八二年に池原氏の立ち入りを永久的に禁止する措置をとったということも、それを口実にしたとみられる立ち入り拒否も、米軍にまったく道理はありません。

 米軍の土地取り上げに反対した池原氏の立ち入り拒否は、単に個人に向けられたものではなく、米軍の横暴とたたかうすべての県民に向けられたものです。米軍にさからえば立ち入りも許されないのだという脅しの意味もあります。こんな理不尽なことを許すわけにはいきません。

 この横暴の根っこには、わがもの顔で沖縄を支配する米軍の占領者意識があります。「このままなら安保容認の議員でさえ、反基地に変わりかねないほど議会全体が怒っている」(沖縄市議会運営委員長)というのは当たり前です。

 現職の市議の立ち入りを拒否したことは、公人などの立ち入りを認めた日米合同委員会合意(一九九六年)にも反しています。合意は、「地方議会の議員」を含め、「公務遂行を目的とする立ち入り」を認めています。米政府が約束したとりきめを自ら破る米軍の態度は、どこからみても許されることではありません。

■問われる政府の態度

 抗議の声におされ、嘉手納基地は、池原氏が「市議会議員である間」立ち入りを認めると発表しました。しかし、これでは米軍が受け入れる者を選別し、拒否するという立場に変わりはありません。米軍は、不当な立ち入り拒否を撤回すべきです。同時に、この問題では、日本政府も、日本国民の利益より米軍の利益を優先させてきた態度を問われていることを、直視すべきです。


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