2006年1月20日(金)「しんぶん赤旗」

主張

日米防衛首脳会談

国民の声考慮した跡さえない


 日米防衛首脳会談は、在日米軍再編にかんする「最終報告」作成に向けて作業を「よりいっそう加速する」ことを確認しました。

 額賀防衛庁長官は、「再編の成功」を強調し、「日米安保共同宣言」(一九九六年)に代わり、日米同盟の地球規模化を明確にする新合意文書をつくることまで提案しました。

 米軍基地再編に直接関係する自治体と住民の圧倒的多数が再編に反対しています。国民の声を無視し、ひたすら日米同盟の侵略的強化を進める日米協議は、日米両政府の反国民的姿勢を示すものです。

■百三の自治体が反対

 日米同盟再編強化をうたった「中間報告」(昨年十月)は、沖縄県名護市沿岸部での新基地建設、キャンプ座間(座間市、相模原市)への新戦闘司令部の移設、米軍戦闘機の航空自衛隊新田原(宮崎県)・築城(福岡県)両基地の使用、空中給油機の海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)への移駐、米軍機の航空自衛隊基地への訓練移転などを明記しました。これにたいし、再編に反対する自治体首長と議会は百三にもおよんでいます。関係自治体のなかで賛成しているのは石原東京都知事だけです。

 全国に広がる反対の声は切実です。沖縄の新基地建設は、近接する集落に爆音被害と墜落事故の恐怖を与え、きれいな海を汚し環境破壊をもたらします。座間の新戦闘司令部移設は、新たな基地機能の強化と基地の恒久化につながり、基地返還を遠ざけます。岩国基地への空母戦闘機部隊の移駐は、市民に昼夜を問わない爆音被害をもたらします。

 自衛隊との共存はやむをえないと考え、受け入れている人でも、多くの人々は、イラクで罪のない多数の市民を殺傷している米軍の受け入れに反対しています。

 米軍が駐留すれば、必ず犯罪や事故がおこります。米兵の凶悪犯罪は、沖縄はもちろん、米軍が駐留するところではどこでも発生します。米空母乗組員による悪質な児童引き逃げ事件(東京都八王子市)、女性殺害事件(神奈川県横須賀市)が相次いで発生しました。米兵がいる限り、犯罪はなくなりません。

 航空機事故も深刻です。〇四年八月、沖縄国際大学構内に普天間基地の大型輸送ヘリが墜落、今年も、沖縄近海で訓練中の嘉手納基地所属のF15戦闘機が墜落しました。全国にある自衛隊基地に移転しそこを足場に訓練空域を往復する米軍機が墜落しない保障はどこにもありません。ローレス米国防副次官は、「自衛隊との共同訓練や相互運用の向上がまず目的だ」とのべていることからも、飛行が増え、危険も増します。

 額賀防衛庁長官は、「米軍再編を成功させるためには、米国の一定の譲歩がなければならない」とのべたといいます。しかし、「原則が中間報告で出されているのでその中で地元住民の理解を得ていく」とのべ、沖縄の新基地建設計画の修正も拒否しています(十五日)。「中間報告」を不動の前提とし、その枠内で「譲歩」といっても、アメリカにとっては痛くもかゆくもありません。

 広範な自治体ぐるみの反対を無視しての米軍基地再編・強化は、絶対に認められません。

■再編反対の大世論を

 米軍再編は、アメリカの先制攻撃態勢づくりであり、平和と安全に逆行します。反対運動は、憲法九条を守り、アジアと世界の平和を守る大義をもっています。

 国民的世論を高め、再編計画を断念させましょう。


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