2006年1月17日(火)「しんぶん赤旗」

チリで初の女性大統領

民主化推進 南米統合に前向き

右派候補を破る


 【コチャバンバ(ボリビア)=松島良尚】南米チリで十五日に行われた大統領選決選投票で、与党連合の中心である中道左派・社会党のミチェル・バチェレ前国防相(54)が右派・国民改進党のセバスティアン・ピニェラ前党首(56)を押さえて勝利しました。就任は三月十一日。同国初の女性大統領で、ピノチェト軍政後四度連続となる中道左派政権を率います。


 開票率97・5%時点で、バチェレ氏の得票率は53・5%。一方、ピニェラ氏は46・4%で敗北を認めました。

 バチェレ氏は、勝利確定後の集会で「長い道のりだった」と述べ、女性であることの不利や、空軍司令官だった父親の軍政下での殺害、自身の逮捕、亡命の経験などを想起。軍政をめぐる国民の分裂が解消する方向にチリは大きく前進してきたとし、「私は全国民の大統領になる」と強調しました。

 チリでは、中道左派政権のもとで軍政時代の終身議員制度の廃止など民主化が進んできました。当選したバチェレ氏は、チリ共産党などが強く要求していた選挙制度改革にも着手すると公約しています。

 昨年十二月の第一回投票後、バチェレ氏はチリ共産党との協議で、下院議席数の拡充と比例代表制度の導入で合意しました。現在は、すべての下院選挙区は二人区となっており、少数政党には不利。チリ共産党は、バチェレ氏との合意を経て、野党の立場は変えないとしつつも、党員・支持者にバチェレ氏への投票を呼びかけました。

 バチェレ氏はまた、右派勢力が現在中南米に広がりつつある左派の政権に懸念を示していることに対し、「何人かの大統領の“悪の枢軸”があるとは思わない。完ぺきな選挙で選ばれた大統領は脅威ではない」と語り、南米の統合に対しても積極的な姿勢をみせています。


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