2006年1月16日(月)「しんぶん赤旗」
パキスタン“民間人犠牲は遺憾”
米軍の空爆に抗議
【ニューデリー=豊田栄光】パキスタン政府は十四日、同国駐在の米国大使を外務省に呼び、米軍によるパキスタン領内への空爆に抗議する書簡を手渡しました。攻撃されたのはアフガニスタン国境付近のダマドラ村。十三日、民家三軒にミサイルが命中、十八人が死亡しました。
ダマドラ村のあるバジュラ地区の中心の町カールでは十四日、五千人規模の抗議デモが行われ、反米スローガンを叫びました。
パキスタン政府によると、国際テロ組織アルカイダ・ナンバー2のザワヒリ容疑者が潜伏中との米中央情報局(CIA)の誤った情報に基づき、アフガン駐留米軍が攻撃しました。パキスタン政府はザワヒリ容疑者の死亡を公式に否定しています。
パキスタンは「テロとのたたかい」で米国に協力しているものの、国内での米軍の戦闘行動は認めていません。アフガン駐留米軍はたびたびパキスタン領内に侵入、攻撃によって多数の民間人が犠牲になっています。
アジズ首相は「痛ましい」とコメント、ラシド情報相は「民間人の犠牲はきわめて遺憾。二度とこのようなことを起こしてはならない」と語っています。
パキスタン外務省は、アフガニスタン、米国とでつくる三カ国委員会で、米軍の越境攻撃問題を取り上げるとしています。