2006年1月14日(土)「しんぶん赤旗」
EU代表・英仏独外相
イラン核問題安保理付託
IAEAに要請へ
【ベルリン=片岡正明】英独仏の三カ国外相と欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安保上級代表は十二日、ベルリンで緊急協議し、イランの核開発問題を国連安保理に付託するため国際原子力機関(IAEA)緊急理事会開催を呼びかけました。イランと英独仏三カ国は核開発問題で二年半交渉を続けてきましたが、三カ国が交渉の「行き詰まり」を宣言し重要な段階を迎えました。
この問題に関するEU三カ国と米国、中国、ロシアの会合が十六日にロンドンで開催されます。
十二日の緊急協議は、イランが十日に「研究目的のウラン濃縮作業」を同国中部ナタンツのウラン濃縮施設で再開したことを受けたもの。イランは一連の作業を電力不足のための原子力発電開発であり、国際法にも違反していないと主張しています。一方、米国や欧州は「核兵器への転用の危険がある」として、「一切のウラン濃縮活動の中止」を求めていました。
協議後の記者会見でシュタインマイヤー独外相は、「平和的手段で外交的に解決する用意がある」としつつも、ナタンツでのウラン濃縮作業再開が「(交渉の)一方的な拒絶だ」とイランを非難。「二年半の交渉は行き詰まり、安保理がIAEAを補完すべき時がきた」と語りました。
ストロー英外相も「イランは合意の義務不履行だ」と批判。ドストブラジ仏外相は「ロシアと中国が一緒になったときにのみイランは耳を傾ける」と述べ、安保理常任理事国のロシア、中国との協議の必要性を強調しました。
一方、仏高官は国連安保理付託が「国連によるイラン制裁を意味しない」と述べ、あくまでも平和的解決をめざす姿勢を示しました。
■国連総長IAEA枠内で解決を
【ワシントン=山崎伸治】国連のアナン事務総長は十二日午後、安全保障理事会との昼食会のあと記者団に対し、イランの核開発問題は「可能ならば、国際原子力機関(IAEA)の枠内で解決すべきだ。エルバラダイ事務局長が当事者と協力して、その枠内で解決しようと最大限努力している」と述べました。
同時に「その過程が尽きたら安保理に付託されることになるだろうし、どうすべきかは理事会の決断に任せる」と表明。「私はすべての当事者と話してきたし、交渉による解決を促し、テーブルにつけ、事態が拡大しないようできることをやってきた」とし、「当事者が望むならば、仲介することはいつでも可能だ」と述べました。
イランの交渉担当者ラリジャニ氏には「事態の拡大を避け、自制を求めるとともに、交渉に機会を与え、交渉にこそ実行可能な解決策があると訴えた」と述べました。それに対し、ラリジャニ氏は「真剣で建設的な交渉には関心をもっている」と答えたといいます。

