2006年1月8日(日)「しんぶん赤旗」

拷問禁止法“無視”も

米政府関係者が見解

上院議員が批判


 【ワシントン=山崎伸治】昨年末、ブッシュ米大統領がようやく署名に応じた、拘置中の被疑者に対する拷問を禁じた法律について、政府関係者が、「対テロ」のためなら必ずしも守る必要はないとの見解をとっていることが問題になっています。国家安全保障局(NSA)による違法盗聴とともに批判されています。

 この問題は米紙ボストン・グローブが四日付で報じたもの。ブッシュ氏は十二月三十日、同法への「署名声明」で、「行政府は、最高司令官である大統領の憲法上の権限に矛盾しないよう(同法を)解釈する」と述べ、合わせて「米国民をこれ以上のテロ攻撃から守る」と強調しました。

 この言明について政府関係者が同紙に対し、大統領には「法律に従う責務」と「米国民を守る責務」があり、「国家の安全保障を守る責務を果たすため同法の制約を回避することもありうる」との見解を示しました。

 「署名声明」は大統領が法律の解釈を述べたものです。行政権が専門のニューヨーク大学デービッド・ゴーロブ教授によると、「法的な文書ではなく、法的な効力もない」とされますが、「行政機関に対し、大統領がその法律にどのような見解を持ち、同法を実施するため、あるいは実施しないため、どうすべきかを示す」ものだといいます(六日放送のパシフィカ・ラジオ「デモクラシー・ナウ」)。

 こうした見解について、同法の実現を進めてきた共和党のワーナー、マケイン両上院議員は共同で声明を発表して批判。共和党のグレアム上院議員は「いかなる政治家にも、法律を脇に置く権限があるとは思わない」(五日付ボストン・グローブ)と非難しています。

 同紙も「(ブッシュ政権は)戦争にかかわる問題は行政府が独占的に扱い、議会や裁判所の関与は最小限にすべきだと主張している」と批判しています。


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