2006年1月4日(水)「しんぶん赤旗」
生産と輸出 低下深刻
ガソリン値上げで暴動も
イラク石油
【カイロ=小泉大介】世界第二位の石油埋蔵量を持つとされるイラクで、石油生産と輸出の低下が深刻化しています。ガソリンの政府統制価格の相次ぐ引き上げが国民の不満を高め、二日にはウルーム石油相が辞任するなど政治の混乱をもたらしています。
ロイター通信が二日、イラク石油省高官の話として明らかにしたところによると、昨年十二月の石油輸出量は日量百十万バレルで、二〇〇三年三月のイラク戦争開戦以降最低レベルに落ち込みました。旧フセイン政権時代の経済制裁下の平均と比べても半分程度です。
武装勢力による石油生産施設やパイプラインにたいする破壊活動と、非効率な行政による復旧の遅れが主な原因であると指摘されています。
輸出停滞による財政ひっ迫とともに問題となっているのが国民生活への直接の影響。昨年十二月にバイジにある最大の石油精製施設が破壊活動や輸送運転手への脅迫を理由に閉鎖されて以降、政府はガソリン価格引き上げを繰り返し、短期間で二倍になりました。
これに対して全国で国民の反発が高まり、一日には有数の産油都市、北部キルクークで抗議デモの参加者が給油所に放火するなど暴動が起き、参加者二人が警官に殺されました。
ウルーム石油相は辞任に際して、ガソリン価格引き上げが「物価の高騰を引き起こし、国民にさらなる重荷を背負わせる」と抗議しました。後任には、米国との深いつながりを指摘されるチャラビ副首相が就任することが決まっています。

