2005年12月29日(木)「しんぶん赤旗」

豊羽じん肺 勝利和解

会社側 原告17人に事実上謝罪


 札幌市の金属鉱山「豊羽(とよは)鉱山」で働き、じん肺になった労働者と遺族ら十七人が、雇い主である豊羽鉱山と親会社の新日鉱ホールディングスなどを相手取って加害責任と賠償を求めていた「豊羽鉱山じん肺訴訟」が二十八日、札幌地裁で和解しました。

 和解の内容は、被告は原告全員に対して総額二億一千万円を支払うとともに、原告らに対し弔意とお見舞いの意思を示し、じん肺被害を回避するためいっそうの努力を約束するというものです。

 六月に亡くなった原告の芳賀文夫さん=当時(71)=の遺影を抱いた妻・麗子さん(57)は「『麗子、最後、頼むな』が夫の最期の言葉でした。やっと悔いのない気持ちで報告できます」と笑顔で涙をぬぐいました。

 弁護団長の長野順一弁護士は和解について、全面勝利解決した北海道石炭じん肺訴訟などに準じた和解金額が支払われたこと、時効差別なく原告全員が救済されたこと、事実上「謝罪」し今後のじん肺被害の防止を誓約したことをあげ、「きわめて大きな意味を持つ和解だ」と強調しました。

 同訴訟は、二〇〇二年八月の提訴以来、約三年にわたる口頭弁論、証人尋問、豊羽鉱山の「実地検証」などを経て、今年七月に結審。札幌地裁の和解勧告にもとづき協議をしていました。


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