2005年12月24日(土)「しんぶん赤旗」
新潟停電 完全復旧に31時間
類似事故から2年 送電線対策立ち遅れ
新潟県下越地方を中心に起きた大規模な停電は、完全復旧に三十一時間もかかり、交通機関のまひ、学校休校、病院外来の受け付け中止をはじめ、家庭の暖房器具が動かなくなるなど、市民生活を直撃しました。東北電力の大雪による停電事故対策の立ち遅れが、深刻化を招きました。
今回の停電事故の影響で、JR東日本では二十三日、上越新幹線を含め三百一本が運休し、十六万人に影響が出ました。同社新潟支社は「大雪で列車が止まることはあるが、風雪による停電でこれほど長時間止まったのは過去にない」としています。
東北電力新潟支店の佐藤実支店長は同日、「大変ご迷惑を掛けおわび申し上げます。当社設備にとってこれまで経験したことのない異常気象でした」と記者会見で釈明しました。
しかし、今回と同じような雪害による送電線の停電事故が二○○三年十二月にも下越地方で発生。その時はトラブルは小規模で数秒間の停電だったといいます。接触個所がすぐには分からず、データ解析をした後、目視で問題個所が見つかりました。
この時、今回の大規模停電と同様に、送電線が雪の落下で跳ね上がる異常な振動をおこして送電線同士が接触しショート状態になる現象や、塩分を含んだ氷雪が送電用碍子(がいし)に付着して高電圧を絶縁できなくなるなどの問題が原因として浮上。こうした送電線対策として、接触防止装置の設置を始めていたとしています。しかし、この対策が今回の大雪には間に合いませんでした。
北海道電力では、ほぼすべての送電線に着雪を落下させるプラスチックリングをとりつける対策をとっています。
東北電力によると、今回の停電では送電線の異常振動などは断続的に広範囲で発生。暴風雪で主要な送電線九本がほぼ同時に使えなくなりました。
どこがおかしいのか問題発生個所を調べることもできなくなり、送電線の事故個所を迂回(うかい)する復旧も手間取りました。
東北電力は今後、対策として電線同士の接触を防止する器具や、塩分を含む氷雪に強い碍子の導入を進める方針です。

