2005年12月23日(金)「しんぶん赤旗」
送電線網 雪へのもろさ露呈
■解説
新潟県や関西四府県を襲った二十二日の広域停電は、交通網はじめ暮らしを直撃しました。
とくに新潟県では朝から長時間停電し、東北電力管内では一九八〇年十二月の豪雪以来の深刻な停電です。大雪にたいする幹線高圧送電線網のもろさがさらけ出されました。
新潟県で発生した大規模停電は複数の幹線高圧送電線のトラブルが原因です。経済産業省原子力安全保安院の電力安全課や東北電力によると、電気を通しやすい、塩分を含んだ氷雪が送電線につき、強い風で送電線が大きく揺れ接近してショート状態となり、異常な放電が発生。このため複数の変電所の遮断器が作動したと推定されています。
高圧送電線は風速四〇メートルに耐えることや、通常の積雪を想定してリング装着などの積雪仕様の電線がつかわれることになっています。保安院は「今回は想定を超えていた」と説明しますが、幹線送電線に障害があっても通常は送電線のネットワークで補完します。今回は送電線ネットワークのどこが問題なのか全体状況もつかめない状態です。
幹線送電線網の技術的な基準や保守体制に問題がなかったか、再検討が求められています。
日本海側の福井県大飯町にある関西電力・大飯原発の四機は二十二日午前八時五十分ごろから九時半すぎまで一時間弱、送電できなくなりました。保安院や関西電力によると、原子力発電の送電ができなくなったのも、雪と強風による高圧送電線のトラブル。保安院の原子力防災課は「送電線に積もった雪が落下した反動で送電線が大きく振動したため、安全装置を作動させる信号が出た。送電線に雷も落ち、電圧が急に上昇して(変電所の)遮断装置が作動した」と説明します。
大飯原発3、4号機は通常の運転出力(百十八万キロワット)を3%程度に落とし、発電所内だけに電気を供給したものの、約十分後には1、2号機でも発電機を保護する安全装置が作動し原子炉が自動停止しました。同課は、今回のケースは初めてと説明します。(宇野龍彦)