2005年12月22日(木)「しんぶん赤旗」

定率減税って何?


 〈問い〉 所得税・住民税の定率減税が全廃されると聞きます。そもそも定率減税って何ですか?(鹿児島・一読者)

 〈答え〉 現在、私たちが納税している所得税、住民税は、税額として算出された額よりも一律に20%(住民税は15%)減額された額を納税しています。税額の一定割合(定率)を減税することから「定率減税」とよびます。小渕内閣のときの99年度の税制「改正」で景気対策の一環として恒久的減税として導入されました。そのときは、法人税率の引き下げや所得税の最高税率引き下げも同時におこなわれました。今回、政府・与党は、このうちの所得税、住民税の定率減税のみを廃止する方針を打ち出しました。

 所得税、住民税の算出の仕組みをみてみましょう。

 この二つの税金は、サラリーマンの年収や年金生活者の年金収入そのものに直接課税されるのではありません。(1)まず、各世帯の状況に応じた必要経費を考慮した額(給与所得控除や公的年金等控除)を差し引き、(2)次に、世帯状況を考慮した額(配偶者控除や扶養控除など)を差し引き、(3)それで算出した額(課税所得)に税率を掛け、税額とします。

 定率減税とは、こうして算出された、それぞれの世帯の税額にさらに一律の%を掛けて減税する仕組みです。

 所得税・個人住民税の税額は、税金を納める本人の年収や世帯によって異なるため、定率減税による減税額もそれぞれ異なることになります。

 政府・与党は、05年度税制「改正」で、定率減税の半減(所得税は06年1月から、住民税は同6月から)を決定し、来年度は、これを全廃(所得税は07年1月から、住民税は同6月から)することをねらっています。

 全廃されれば、年収500万円の4人家族(妻は専業主婦、子ども2人、うち1人は16歳から22歳)では、年間3万5千円もの増税になります。定率減税にはもともと所得税25万円、住民税4万円の上限を設けていたので定率減税が廃止されても最大で29万円の増税です。お金持ちにしてみれば、数十万円の増税になっても影響はほとんどありませんが、低所得者に重くのしかかることになります。(英)

 〔2005・12・22(木)〕


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