2005年12月22日(木)「しんぶん赤旗」

NHK番組改ざん裁判

政治家用資料を作成

東京高裁 長井プロデューサー証言


 「慰安婦」問題を扱ったNHKの番組「問われる戦時性暴力」(二〇〇一年放送)が政治圧力で改ざんされた問題で、NHKが政治家に番組を説明するための資料を作成していたことが明らかになりました。二十一日、東京高裁で行われたNHK裁判の中でNHKの長井暁チーフプロデューサーが証言したものです。

 説明資料は、当時、番組の編集責任者だった永田浩三チーフプロデューサーが上部の指示により作成したもので、政治家に対する想定問答集といえるもの。放送前の二〇〇一年一月二十七日にはできあがっていたといいます。当時、放送総局長だった松尾武氏と、国会対策の担当局長だった野島直樹氏が安倍晋三官房副長官(当時)のところに番組の説明に行ったのはその二日後。説明資料を携えていたかどうかは不明ですが、その事実一つをとっても、安倍氏が官邸で「検閲」をした疑いが濃厚になりました。

 またこの日、新たに原告バウネット側は、日本放送労働組合がまとめたばかりの資料を提出。最終的な編集責任者だった吉岡民夫教養番組部長の台本の一ページ目に、「慰安婦」問題を敵視していた「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の幹部であった安倍晋三、古屋圭司両氏と同会にかかわってきた荒井広幸氏の名前がメモされていた事実も、紹介されました。番組改ざんの過程で、書きこまれたもので、政治家の関与を裏付けています。

 長井氏は、被告NHKの「今も政治介入があったと考えるか」との問いに、「そう考える」と答えました。なぜ、内部告発したのかの問いには、「NHKの職員がNHKにマイナスになることを言っていいのか、かっとうがあった。でも、ここで本当のことを言わなければ、一生後悔する。人間として正しく生きようと思った」と声を詰まらせながら語りました。


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