2005年12月22日(木)「しんぶん赤旗」

国民投票法案 自公民の合意

背景に9条改憲論議の加速


 自民、公明、民主の実務担当者が二十日、来年一月に召集される通常国会で、改憲のための国民投票法案の成立を目指すことで一致したことが波紋をよんでいます。

 もともと同日の会合は、自民党の中山太郎衆院憲法特別委員長を中心に、自民党の船田元・憲法調査会長、民主党の枝野幸男憲法調査会長、公明党の太田昭宏憲法調査会座長らの「私的」な集まりとされており、「何か正式な決定をするところではない」(民主党関係者)とされていました。改憲手続き法案の合意が既成事実化され、党内手続きが後回しにされていることへの不満ももれています。

 しかし、自公民三党の実務担当者が、国民投票法案の次期通常国会での成立を確認しあったことで、早期に三党間での法案作成作業を開始する動きがつくられようとしていることは重大です。

 背景には、自民党が新憲法草案を出した(十月二十八日)後、民主党、公明党からも相次いで改憲へ向けて踏みこんだ態度表明がなされるなど、九条改悪へ向けて議論が急加速していることがあります。

 民主党は自民党の新憲法草案発表の翌日、党憲法調査会の「憲法提言」を発表(十月二十九日)、九条二項削除の方向を明確にしました。さらに、民主党の前原誠司代表は訪米中の講演で「一千カイリ以遠のシーレーン防衛で集団的自衛権の行使を可能とするために憲法改正が必要だ」と発言(八日、日本時間九日)。自民党でも言えないような親米改憲の発言をして、周囲を驚かせています。

 さらに講演の翌日には「憲法改正を必要だと考えている政党にとって与野党はない」とのべました。

 公明党も、太田氏が二十日の講演で「九条改正は避けられない」と明言。九条に国際貢献の規定を付け加えるとし、九条二項の変質の方向を改めて明らかにするとともに、来年中に改憲案を取りまとめるとしました。

 こうした流れの中で、国民投票法案の整備を急ぐのは、まさに同法案が九条改悪の条件づくりであることを浮き彫りにするものです。すでに自民・公明両党と民主党の間では、共同の法案作成をめぐって、投票運動におけるメディア規制と投票資格年齢についての調整が残るだけとされているだけに、今回の三党実務者間での合意の持つ意味は重大です。(中祖寅一)


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