2005年12月21日(水)「しんぶん赤旗」

“年寄りは邪魔か”

高齢者医療負担増の予算原案


 高齢者医療の大幅負担増を盛り込んだ来年度予算財務省原案が発表された二十日。東京・立川市の立川相互ふれあいクリニックの会計窓口で聞くと、「小泉首相は取りやすいところから取っているだけ」「年寄りはまるで邪魔もの扱い」―次々に憤りの声が返ってきました。


■待合室の声

 同予算案には来年十月から、療養病床に入院する七十歳以上の高齢者の食費・居住費を全額自己負担にすることが盛られました。少なくともいまより月二・八万円の負担増になります。

 腹部エコー検査に来ていた女性(74)は語りました。「義姉がずっと入院しているから負担がどうなるか気にかけています。自分も入院することになれば心配…」。年齢とともに病院にかかる機会が増えています。「兄も年金だけで生活して大変な状況なのに」。自分の年金は月八万円。入院といわれれば「考えてしまう」と話しました。

 予算案には新たな高齢者医療制度の創設(二〇〇八年度)が盛られました。いまは社会保険の被扶養者などで保険料を払っていない人も含め、七十五歳以上のすべての高齢者から保険料を徴収。保険料は一人当たり年間七万円程度といわれます。介護保険料と合わせて一人月一万円程度の負担です。

 「えー知らなかったわ!」。目を丸くして声をあげたのは同市内に夫と二人で暮らす長谷川キヨさん(78)です。年金は夫婦合わせて月二十万円程度。改悪されれば年金の一割が介護と医療の保険料で天引きされます。

 「魚は閉店間際のスーパーで半額以下になったのを買ってます。冬でも雨の日以外はストーブはつけません」。節約に節約を重ねて成り立たせている暮らしに負担増の仕打ち。「小泉さんには最初期待したけど、裏切られた、あまりにひどすぎます」

 七十歳から七十四歳の患者負担は現行の一割から二割にするといいます(〇八年四月実施)。

 「腹が立つよね。結局六十九歳までは三割のままで、七十歳以上は二割に上げた」と憤慨するのは国立市の札辻捷治さん(67)。

 三年前に脳こうそくで倒れ、以来医者通いが欠かせません。「小泉さんの政治では貧富の格差が広がりすぎる。取りやすいところからだけ取る政治はやめてほしい」

 「長生きするだけ大変になっていくねえ」。七十三歳の女性はポツリとつぶやきました。関節炎で四年前入院。年ごとに体は思うようにきかなくなります。通院のため病院の近くに部屋を借りて一人で暮らします。収入は亡くなった夫の遺族年金で月十万円程度。「検査があればいまでも万札がすぐになくなる。それが二倍になるなんて考えるのも嫌になる」。高血圧もあり、医療費の負担増にうつむきました。


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