2005年12月16日(金)「しんぶん赤旗」
「夢あきらめないで」
ユニセフ世界子供白書 発表会見
極貧・強制売春経験の2女性訴え
【ロンドン=岡崎衆史】ロンドン市内で十四日に行われた国連児童基金(ユニセフ)の『二〇〇六年版世界子供白書』の発表記者会見で、極貧や強制売春を経験しながら自らと支援団体の力で立ち直った二人の若い女性が「夢をあきらめないで」と同じ境遇の子どもたちに訴えました。
ルーマニアのコリナ・タナイテさん(20)の父親は家庭を捨て、母親は精神を病み、四歳年上の姉も五年前イタリアに行き、極貧状態の家庭を支える役割がコリナさんの肩に。十七歳の時、友人から「アイルランドのレストランで働こう」と持ちかけられました。しかしアイルランドで待っていたのは強制売春に従事させられる日々でした。売春は二カ月後に警察が組織を摘発するまで続きました。
コリナさんはルーマニアに帰国。同国の人身売買犠牲者救済のための非政府組織(NGO)の更生プログラムで医療や精神的支援を受け、高校を卒業しました。
「私の将来は祖国にあるということに気付きました」。コリナさんは、かつての自分と同じように外国でいい生活がしたいと考えている少女たちに、人身売買への警戒を呼びかけました。
インドのカラムディ村で生活するグリヤ・カトゥムさん(14)は、二年前まで読み書きができませんでした。学校には六十ペンス(約百二十円)の月謝が払えず、父親の事故で、カトゥムさんは働かざるを得なくなりました。その後、無料で教育を受けられる制度があるのを知り両親を説得。学校に通いました。八キロの道のりを歩いての通学です。今、グリヤさんは通常五年かかるコースを九カ月で修了。同じ村から四人の少女も同じ学校に通い始めました。
「親や政府は、子どもたちに学校に通う機会を保障するべきです」。グリヤさんが訴えました。
ユニセフのベネマン事務局長は、これまで社会が光をあててこず無権利状態に置かれている子どもたちが数億人いると指摘。「こうした子どもたちの姿を浮かび上がらせ、声が届くようにすることは私たちすべての手にかかっている」と述べ、二人のような厳しい状況に置かれている子どもたちの保護や支援活動を強めるよう訴えました。

