2005年12月16日(金)「しんぶん赤旗」

学費値上げ反対 大学側も「一翼担う」

署名1400人分集めて交渉

東大の学生自治会


 大学総長に学費値上げストップを求める千四百人の署名を集めて副学長との懇談が実現―。東京大学駒場キャンパス(東京・目黒区、教養学部と一・二年生が通学)で教養学部学生自治会が学費値上げ反対の運動を広げています。


 十一月二十八日におこなわれた懇談で古田元夫副学長は冒頭、署名の広がりに「みなさんの努力が反映している」とのべ、「総長に伝えるために懇談の場を設けた」と説明しました。

 署名の内容は三つ。(1)二〇〇六年度分以降の授業料と入学金の値上げを行わないこと。学部別授業料を導入しないこと(2)奨学金、学費免除、寮・宿舎の拡充(3)政府に授業料標準額・入学金の据え置きと大学予算増額を求めること―です。

 古田副学長は、国立大学協会が学費値上げに批判的な姿勢を示していることを紹介し、反対の一翼を担っていくと語りました。

 東大は〇五年度の授業料を一万五千円値上げし、五十三万五千八百円としました(大学院博士課程は据え置き)。入学料二十八万二千円と合わせると、初年度納付金は八十一万七千八百円になります。

■8割が「高い」

 高学費のもとで、学生生活は大変です。

 自治会のアンケートでは、59%の学生が「学費が高い」と答え、「やや高い」の23%と合わせて八割以上が学費が高いと感じているという結果となりました。「教科書を買おうと思ったらお金がないので食費を切りつめました」「一日三食とも食パンで過ごしている友人がいる」という訴えが寄せられています。

 署名活動にあたっての聞き取り調査でも、「生活費は食費・住居費(寮)を足して月五万円程度。奨学金とバイト代を充てている。夏休みの間は少しでも多く稼いで、授業料免除がなくなったときに備えて蓄えている」「仕送りはゼロ円。奨学金が月十万円。卒業するときには五百万円の借金が…。日曜日は一日一食で済ませるときもあります」という実態が。

 署名活動の開始は十月。一週間で訴えに入ったクラスは二百を数え、各クラスの自治委員や教職員組合とも協力して署名数を増やしました。十月二十六日の学部との交渉では、署名を示して学費値上げストップを迫りました。副学部長は政府から値上げの方針が出てもできるだけ抵抗すると発言しました。

■黒書作り計画

 自治会常任委員が署名にとりくんだ思いは―。

 「将来ロースクールに行きたいのですが、初年度納付金だけで百万円を超えます。高校二年生の妹の進学も心配。祖母の介護費用がかかるので家計は大変です」(一年生の男子学生)

 「二年後にきょうだいが進学予定です。校門前でビラを配っていたら『学費値上げをストップして』と声をかけられ励まされました」(一年生の女子学生)

 自治会は今後、署名を続けながら学生生活の実態を調べ、黒書を作りたいと計画しています。


 ▼国立大学の学費は、政府が定める標準額の10%増を上限に各大学で決めます。2005年度予算では授業料標準額を1万5000円値上げし、国は引き上げ分を各大学への交付金から削減。多くの国立大学が授業料を値上げしました。財務省は入学料標準額のいっそうの引き上げを狙っていると報じられています。


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