2005年12月16日(金)「しんぶん赤旗」

「ミサイル防衛」来年度から日米共同開発

際限ない軍拡とムダ遣いへ


■解説

 政府は次世代型「ミサイル防衛」システムについて、共同開発への移行を決めました。これは、米国の先制攻撃戦略の柱である重要な兵器システムの開発に、日本が踏み込むことを意味します。

 共同開発を求めてきたのは米側です。

 二月にワシントンで開かれた日米軍事首脳会談で、ラムズフェルド国防長官は、二〇〇六年度から開発段階に移行したい考えを伝達。この要求を受け、大野長官は六月、開発段階への移行を表明しました。防衛庁は、〇六年度予算の概算要求(八月)で、共同開発のための予算を初めて計上しました。

 防衛庁は、その理由について「米側のスパイラル(らせん)開発・取得方式への柔軟対応」や「将来脅威への対応」のためと説明しています。

 「スパイラル開発・取得方式」とは、米側が兵器調達にあたって進めている方式で、未完成品でもとりあえず配備し、その後、実験・改良していく考え方です。「ミサイル防衛」で言えば、実戦で迎撃できる保証がなくても、まず配備するということです。

 「将来脅威」というのは、相手国が迎撃ミサイルを回避するために、「おとり」を使う場合などを指しています。〇三年十二月に日本政府が導入を決めた現行の「ミサイル防衛」システムでは、「おとり」には対処できないとされています。

 相手国が新たな回避技術を開発すれば、それを上回る攻撃技術を開発し、配備する―。しかも、それを「スパイラル方式」で進めれば、際限のない軍拡と、ばく大な無駄遣いに突き進んでいくことになります。

 現行の「ミサイル防衛」システムの導入経費だけでも、六千億―八千億円もかかる見通しです。額賀福志郎防衛庁長官は、共同開発の日本側負担について、千百七十―千四百億円と説明しました。今後、さらに生産・配備にまで進めば、合計で一兆円を超える負担が強いられるのは必至です。

 (田中一郎)


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