2005年12月15日(木)「しんぶん赤旗」

「君が代」

不起立者だけ不合格

都立高解雇裁判 元人事部長が証言


 二〇〇四年と〇五年の卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったため定年後の再雇用を取り消され事実上解雇された東京都立高校元教員十人が、撤回を求めて都教育委員会を訴えた裁判の第九回口頭弁論が十四日、東京地裁で開かれました。都教育庁の臼井勇・元人事部長と東京都労働組合連合会(都労連)の宮部民夫・元委員長の証人尋問がおこなわれました。

 再雇用取り消しの責任者だった臼井元部長に対し、原告側弁護団は、二〇〇一年度から〇三年度まで約四百二十人の再雇用希望者のうち不合格はわずか一人だったこと、以前に懲戒処分を受けた教員でも再雇用されていることを示し、合否の基準は何かとただしました。臼井元部長は「総合的に判断している」としか答えられませんでした。

 また臼井氏は、原告らが職務命令に反して「君が代」に不起立だったことが再雇用取り消しの唯一の理由だったと明言しました。弁護団は「不起立という行為に比べて処分内容のバランスがとれていないのではないか」とただしました。同氏は「教育の根幹である学習指導要領に基づく教育課程の実施」にかかわる重大な問題だから重い処分も当然だという姿勢に終始しました。

 宮部元委員長は、都と都労連の協定で再雇用制度を導入した経緯について、「定年後も働きたい」という要求と、定年から年金支給年齢までの雇用保障のため実現したと証言。希望者は全員再雇用するもので、不合格は「健康上の理由以外は想定していなかった」とのべました。また、懲戒処分をされた人でも再雇用されている例が複数あることを証言し、不起立を理由に再雇用しないことの不当性を明らかにしました。


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