2005年12月15日(木)「しんぶん赤旗」

貧困と格差拡大 国連報告がいう“深刻な危機感”とは?


 〈問い〉 日本共産党24回大会決議案は、国連の「人間開発報告」が貧困と格差拡大はこのままでは解決しないと深刻な危機感を表明していると、書いていますが、この点をもう少しくわしく知りたいのですが?(東京・一読者)

 〈答え〉 2000年9月のミレニアム国連総会は、2015年までに「所得1日1ドル以下の貧困者と飢餓に苦しむ人の比率を90年比で半減させる」「安全な水を使えない人の比率を半減する」「初等教育未修了者をなくす」などを目標に189の加盟国が協力することで合意しました〔これは後に8項目のミレニアム開発目標(MDG)として整理されます〕。

 しかし、目標の進ちょくを検証するため、5年後のことし9月の国連総会に合わせて発表された「05年人間開発報告」は「総合的な評価は失望的なものである。大半の国がMDGのほとんどについて目標を達成する軌道から外れている。人間開発はいくつかの重要な分野でつまずいており、もともと大きかった不平等はさらに拡大している」と総括しました。

 報告は、この傾向が続けば期限の15年になっても、「5歳の誕生日を迎えずに死亡する乳幼児数は目標より4100万人以上多くなる」「1日1ドル未満で生活する人々はさらに3億8000万人増える」「4700万人の子どもたちが学校に行けない」と予測しています。

 そして、「問題の核心」に「根深い不平等がある」として、次のような数字をあげています。

 「世界の最も裕福な500人は、最も貧しい4億1600万人の所得を合わせたよりも多くの所得を得ている」

 「世界人口の40%を占める1日2ドル未満で生活する25億人の所得は、世界全体の所得の5%にすぎない。最富裕層10%は、ほぼ全員が高所得国で暮らしているが、この層が世界全体の所得の54%を占める」

 「1日1ドル未満で生活する10億人の人々を、極度の貧困線より上に押し上げるのに必要な費用は3000億ドルであるが、この金額は世界の最富裕層10%の所得の1・6%にすぎない」

 さらに報告は、「どんな言葉によっても、世界中の貧しい人々に対する約束が破られつつあるという、単純明白な真実が覆い隠されることがあってはならない」と口先だけになっている先進諸国を批判。「持続性のある貧困削減には、貧困国や貧困者が極度のはく奪状況から脱却する道を自ら切り開いていけるような、ダイナミックなプロセスが必要」と訴えています。(喜)

 〔2005・12・15(木)〕


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