2005年12月14日(水)「しんぶん赤旗」

定率減税の全廃容認

自公、公約違反で大増税


 自民、公明両党は、十五日に二〇〇六年度の「与党税制改正大綱」をまとめます。焦点の所得税・個人住民税の定率減税について、両党の税制調査会が〇七年の全廃を打ち出した政府税制調査会の答申をあっさり容認。一方、今年度末で期限の切れる企業の研究開発促進減税に代わって新減税を導入する案を「大綱」に盛り込む方向です。財界・大企業を優遇、庶民生活には負担増をおしつける格好です。

■「断固阻止」どこに

 定率減税は、所得税の20%(上限二十五万円)と個人住民税の15%(上限四万円)を差し引く措置で、一九九九年から実施されている総額三・三兆円の大型減税。〇五年度税制「改正」で、政府・与党はすでに〇六年からの半減を決めています。今回は残る半分の〇七年廃止が議論されてきました。

 定率減税が全廃されれば、年収四百万円から九百万円までの圧倒的多数のサラリーマン世帯で、所得税・住民税が二割以上増えます。

 自民党は先の衆院選の政権公約に、「『サラリーマン増税』を行うとの政府税調の考え方はとらない」と明記。選挙のビラに「サラリーマン増税断固阻止。政府税調案を廃案へ」と書いた候補者すらいました。「自民党は明確に『サラリーマン増税』は行わないという政策を掲げ」、それが「自民党大勝の大きな原因」ともなった(斎藤次郎・元大蔵次官、『中央公論』十一月号)との指摘すらあります。

 定率減税全廃は、九月の衆院選での公約を真っ向から踏みにじる「サラリーマン増税」そのものです。

 ところが、自民党税制調査会の柳沢伯夫会長は「昨年、景気が微妙な状況で半減を決めた。当時より経済は底堅く、その延長で言えば、全廃ということになる」(「読売」インタビュー、十一月二十四日付)とのべています。全廃が既定路線のような主張は国民をあざむくものです。

■景気回復に悪影響

 国民の批判が強まるなかで、自民党内からは、中川秀直政調会長らのように、経済状況が変化した場合は見直しを含めて弾力的に対応すべきだとの声があがっています。しかし、昨年の税制「改正」でも自公両党は「その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する」ことで合意しており、今回の全廃へ向けた議論で経済状況や国民生活を真剣に検討した形跡はありません。

 定率減税が導入された九九年以降、サラリーマンの給料は毎年減少し、家計の所得は総額で十四兆円も落ち込んでいるのが実態です。家計を冷え込ませ、景気に悪影響を与えるような大増税は景気回復に悪影響を与えます。

 大企業向けには減税がくりかえされ、大企業・財界はバブル期を上回る利益をあげているのに、法人税収は半分にまで落ち込んでいます。ここを聖域にして、財界・大企業の負担軽減の穴埋めを庶民生活におしつけることは許されません。(小林俊哉)


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