2005年12月3日(土)「しんぶん赤旗」

一年半前、偽装を通報

設計事務所社長が会見


 耐震強度偽装問題で、姉歯秀次一級建築士の構造計算書偽造に気づき、民間の確認検査機関「イーホームズ」(東京・新宿区)に通報した「アトラス設計」(東京・渋谷区)の渡辺朋幸社長(44)が二日、記者会見しました。


■「総研」「木村建設」にも

 同氏は、イーホームズの藤田東吾社長が国会で外部情報を一年前に受け、国土交通省に報告していたと証言した情報提供者で、この日、建築確認したイ社以外に、仲介したコンサルタント会社「総合経営研究所」(東京・千代田区)、「平成設計」(同)、「木村建設」(熊本県八代市)にも通告していたことを明らかにしました。偽装問題がかなり前から関係者の間で周知の事実となっていたことになります。

 渡辺社長によると、アトラス設計は昨年一月、横浜市の設計会社から頼まれ、姉歯氏の構造計算を検証。図面上のオフィスビル(港区)の設計が、耐震基準の四分の一程度しか満たしていないことに気付きました。

 同社長は同年二月二十四日、横浜市の設計会社社長とともに姉歯氏を呼び、「何でこんなことをするのか」とただしました。同氏は「外注に任せていた。間違っていたので訂正する」とびくびくしながら答えたといいます。この席には、同氏を仲介した総研、平成設計、木村建設の各幹部が同席。しかし、渡辺社長の不正の指摘に「建築確認が下りているのだからそんなことはない」と反発する声も出たといいます。

 渡辺社長はその後、民間検査機関の最大手「日本ERI」(港区)に通報。さらに、アトラス設計が再計算した上で、既に出されていた建築確認を変更しました。渡辺社長は昨年十月にも、姉歯氏が構造計算、「イーホームズ」が建築確認した建築中の「グランドステージ北千住」(足立区)を検証。データ偽造を見つけ、「この物件はかなりまずい」とイーホームズに伝えたといいます。

 総合経営研究所は二日、「当研究所が開業の運営指導を行ったいくつかのホテルにおいて偽造が発覚し、大変遺憾」とするコメントをホームページに掲載しました。一部報道で同問題の黒幕と名指しされている同社の内河健代表について「全く事実に反する。大変迷惑」とコメントしています。


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