2005年12月1日(木)「しんぶん赤旗」

8割の企業 心病む社員増

責任・人間関係に悩み

大企業含む95社回答


グラフ

 労働政策研究・研修機構の「メンタルヘルスケアに関する調査」のまとめによると、約八割の企業がここ五年ほどの間に「メンタルヘルス不全者」が増えたとし、65%が生産性などにマイナスの影響を及ぼしていると回答しています。

 同調査は、九月から十月にかけて民間企業百三社(回答九十五社)を対象に実施したもの。従業員規模の内訳は、百―二百九十九人が3・2%、三百―九百九十九人が12・6%、千―九千九百九十九人が50・5%、一万人以上が33・7%となっています。

 ここ五年ほどの間にメンタルヘルス不全の従業員が増えたかどうかを聞いたところ、「やや増えた」が55・8%と最多で、「増えた」の22・1%を合わせると約八割が増えたとしています。「メンタルヘルス不全者はいない」とする企業はわずか6・3%です。

 メンタルヘルス不全による休職者が最も多かったのは、主任や補佐など課長職直前の「若年層後期」とする企業が54・7%と半数を超えました。次いで、「若年層前期(役職なし、新卒入社十年程度まで)」が25・3%、「課長職」が8・4%となっています。

 メンタルヘルス不全の要因については、「仕事の責任のストレス」をあげる企業が26・3%と最も多く、次いで「職場の人間関係のストレス」の25・3%。「職場の環境変化のストレス(企業再編など)」17・9%、「仕事の量のストレス」10・5%が続きます。

 メンタルヘルス問題が生産性の低下や重大事故の発生などに「関係している」とする企業が48・4%と約半数を占めました。「密接に関係している」とする企業の16・8%と合わせると65・2%に達します。

 メンタルヘルス問題の今後の見通しについては、53・7%と過半数の企業が「やや深刻になる」とし、「深刻になる」の22・1%と合わせると八割近くの企業が今後さらに状況が厳しくなるとみています。

 八割強の企業が相談活動や復職支援など何らかのメンタルヘルスケアに取り組んでいます。最も重視するメンタルヘルスケアの担い手は、「職場の上司・同僚」とする企業が42・0%と最多で、多くが職場ラインでの取り組みに力を入れようとしています。「従業員本人の自己管理」を第一にあげる企業はその約半分の20・5%です。

 メンタルヘルス不全で休職した従業員のうち、実際に職場復帰できた割合を聞いたところ、「七―八割程度復職できた」が33・7%と最多。「ほとんど(九割程度以上)全員復職できた」22・1%、「全員復職できた」3・2%です。

 労働政策研究・研修機構の郡司正人主任調査員は「メンタルヘルス問題が生産性低下など企業パフォーマンスにマイナスの影響を及ぼしていると認識している企業ほど、メンタルヘルスケアの取り組みがすすんでいる」と話しています。


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