2005年11月25日(金)「しんぶん赤旗」

大手銀行が過去最高益

リストラ・貸し渋りも背景に


 大手銀行六グループの二○○五年九月中間期連結決算が二十四日、出そろいました。本業のもうけを示す実質業務純益は前年同期比8・5%増にとどまったものの、不良債権処理額が約二兆円減少したのに加え、貸し倒れに備えて積み立ててきた引当金から約五千億円の戻り益が発生、最終利益の合計が前年同期の二十一・八倍の一兆七千二百九十一億円と中間決算としては過去最高を記録しました。

 バブル絶頂期の一九八九年九月中間期に旧日本長期信用銀行(現新生銀行)や旧日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)なども含めた当時の大手二十三行合計の最終利益合計約九千百億円を更新。特に、十月一日に経営統合した三菱UFJフィナンシャル・グループは七千百十七億円と、トヨタ自動車の五千七百五億円を凌駕(りょうが)し、日本企業として最高水準に到達しました。

 ○六年三月期通期見通しも各行が相次いで大幅上方修正し、合計で二兆五千九百五十億円と過去最高だった八九年三月期の一兆七千七百億円に比べ46・6%の大幅増の見込み。高水準の剰余金を公的資金の前倒し返済などに充当する方針です。

 過去最高となった最終利益とは対照的に、本業の業務粗利益の六割を占める金利収入は前年同期比で7・2%減の二兆四百五億円にとどまりました。一方で、金利収入以外の投資信託販売手数料などの収入は前年同月比で20・1%増。金利収入の低迷を諸手数料の収入増加で補った格好です。

 また、巨額の公的資金注入を受けつつ、小泉内閣の不良債権早期処理策のもとで行ってきた店舗の統廃合、行員の大幅なリストラ・人減らしや、中小企業への貸し渋り・貸しはがし、優良企業にしか貸さない選別融資の強化など、金融機関としての社会的責任を後退させたことが、全体の利益を押し上げた要素となったことも否めません。


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