2005年11月21日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

日本列島の北と南から

星空と天文台で町おこし


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 しし座流星群や火星の接近など、11月も夜空は、話題に満ちています。地域の地理や気象条件を生かした町おこしとして、天体観察を、子どもと家族、地域・自治体ぐるみで取り組む例も増えています。日本列島の北と南の端から、星空の美しさや宇宙の不思議に魅せられ、夢を膨らませている取り組みを紹介します。


■あかり消し星まつり

■天文台も来春完成

■沖縄・石垣

 石垣島を中心とする八重山(やえやま)諸島は、日本の南西端にあります。東京から直線で約二千二百五十キロ、那覇からでも四百二十キロ(東京〜大阪間に匹敵)あり、緯度ではマイアミ、バハマ、ハワイなどと同レベルにあります。

 冬でも平均気温が一八度程度で晴天率も高く、美しい島々のコバルトブルーの海原、真っ白い砂浜が輝いています。

■84星座見える

 この八重山の星空は、観察に好条件の二つの特長があります。

 一つは、日本最南端のため、南北の星座が同時に見えることです。「八重山星の会」のホームページでも紹介しているように、全天にある八十八星座のうち、南十字星、ケンタウルスなど八十四星座と、国内で最も多くの星座が観察できます。

 二つ目は、日本の上空を流れる偏西風の外側にあるため、空気が安定し、ゆらぎが少ないことです。流れている川底の石を見ると、ゆらいでいて見えにくいでしょう。

 島なので、周囲に明かりがないことも、天文観察には好条件です。

 私たち八重山星の会は、沖縄県八重山群島に在住する天文愛好家が集まり、二〇〇〇年十一月にできました。現在会員数六十人。NPO法人組織に移行して三年目です。

 八重山地域における天文学や地域の活性化、島おこしに少しでも役に立てるようにと願って活動しています。

 活動拠点は、主に石垣少年自然の家の宇宙広場です。二〇〇〇年十二月に設置された30センチニュートン反射望遠鏡で、小中学生や父母に、世界一すばらしい星空を解説し紹介しています。

■子対象に観望会

 自然の家と星の会の共催で、小中校生を対象に「やいま子ども星空サークル」を毎月開催。一年通うと「子ども星空博士」の修了書がもらえます。また不定期ですが、市内高校生の星空観望会を開き、天文交流を深めています。

 地域の高校生や市民とともに、“石垣島に光望遠鏡設置を”と天文台建設要望活動をおこない、市民の熱い要望に国立天文台、石垣市、沖縄県が応じました。その結果、二〇〇六年春には市内の前勢岳(まえせだけ・一九〇メートル)山頂に九州沖縄地方でも最大級の口径105センチの望遠鏡を備えた天文台が完成予定で、みな楽しみにしています。

 国立天文台VERA(ベラ)石垣島観測局と石垣市、八重山星の会で共催している「南の島の星まつり」(旧暦の七夕に近い土・日曜日に開催。今年は八月六―七日)は、画期的です。石垣島の美しい夜空を取り戻そうと、全国初の全島ライトダウンというイベントで、第九回ふるさとイベント大賞の優秀賞を受賞しました。

 天然資源である「星」を最も美しい形で見よう、家族・恋人みんなで楽しもうと、最近では一万人余が会場を訪れ、夏の夜の満天の星を心ゆくまで楽しんでいます。

 ホテル、企業、各住宅にいたるまでライトダウンし、車の移動を控えるなど、地域住民が一丸となり「星まつり」を盛り上げています。

(新崎善國・八重山星の会事務局長)


■オーロラの見える町

■高性能望遠鏡 広く公開

■北海道陸別町

 陸別町(りくべつちょう)は、北海道の中央から東寄りにある人口三千人の小さな町で、オーロラが見える国内では珍しい地域です。

 町の80%を森が占める豊かな自然は、澄んだ空気や美しい星空と引き換えに、厳しい生活環境をつくっています。夏と冬の寒暖差が七〇度になることもあり、非公式ですが、寒暖計がマイナス四〇度を下回り、計測不能になったこともありました。

 こうした土地なので、主産業は酪農と林業で、開拓以来「自然との調和」を大切にしてきました。それが「銀河の森天文台」をつくるきっかけにもなりました。

 建設に至る経過のなかで、環境庁(当時)の「星空の街」や、「星空にやさしい街10選」に選ばれたり、国内で初めてオーロラのカラー写真が撮影されたりしています。

 「銀河の森天文台」は正式には「りくべつ宇宙地球科学館」といい、一般公開型としては国内最大級の115センチ反射式望遠鏡を持っています。

 大型で高性能の望遠鏡は研究者による利用が中心で、誰でも利用できるものではありません。この天文台では、誰もが利用できるようにと、米国製の、星をとらえるスピードが速い望遠鏡を設置しています。まさに望遠鏡が星を求めてドーム中を駆けめぐります。

 一般の方がなるべく速く、なるべく多くの星を観測できるように、通常の天文台と異なった高速システムを取っているからで、人工衛星さえ追尾することができます。

■真昼に星を見る

 天文台のある場所は、空が澄んで肉眼でスペースシャトルも見ることができます。また、夜だけではなく、真昼の明るさのなかでも星を見ることができます。私が訪問した四日には、南の空に太陽の光を浴びた半月状の金星が見えました。真昼に星を見るためには、大口径の明るい望遠鏡と正確に座標を定めるコンピューター制御が必要です。

■出前授業行う

 天文台では、一般公開型ということで、年四回の町民無料観望会や科学技術振興機構の支援で各学校への出前授業も行っています。今年は身近で起きた低緯度オーロラをテーマに授業をしました。文部科学省の指定を受けた「スーパーサイエンスハイスクール夏の学校」も開催されています。

 今年に入って、天文台内に観測所を設けている名古屋大学太陽地球環境研究所が、宇宙天気図の精度を上げるために、世界で十六基、極東地域で初めての短波レーダーを設置しました。オーロラがきっかけになり建てられた「銀河の森天文台」が、自然と共生する町づくりの核となって、宇宙のことが地域に密着した話題になる日が、すぐそこまで来ています。

 (室崎新一町議)


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