2005年11月20日(日)「しんぶん赤旗」
きょう訪日
プーチン・ロシア大統領
領土問題は行きづまり
経済の拡大を照準に
【モスクワ=田川実】ロシアのプーチン大統領が二十日から三日間、日本を公式訪問します。二〇〇〇年九月以来約五年ぶりの来日には、エネルギー関係をはじめ百人を超えるロシア財界人が同行し、経済協力の進展を狙います。
小泉首相との首脳会談は二十一日の予定ですが、領土問題をめぐる共同宣言の作成は行われない見通しで、日ロ領土交渉の行き詰まりがあらわになっています。
プーチン政権はここ数年、平和条約締結後に歯舞、色丹を「善意の印として」日本側に「引き渡す」とした一九五六年の日ソ共同宣言に基づき、この二島返還だけで領土問題を解決する立場を示してきました。
■「大戦の結果」
それに加え終戦六十年の今年は、ソ連が大戦終結時に千島列島と歯舞、色丹を併合したことを、「第二次大戦の結果だ。(諸島は)ロシアの主権の下にあり、国際法で明確にされている」(プーチン大統領、九月の国民との対話番組で)とする論調を強めています。
与党党首のグリズロフ下院議長も九月に「(日本の)侵略への罰」だとして諸島の領有を正当化。日本はアジア諸国を侵略しソ連を含む連合国に敗れた、領土返還要求は第二次大戦の結果を修正する試みで許せない―という姿勢です。
他方、ロシア外務省のカムイニン情報局長は十八日、大統領訪日の説明で、「日本が過去の誤った拡張主義を認めることは現代的な問題だ」と述べました。
これらの主張には、ソ連を含む連合国が戦後処理の原則として「領土不拡大」を宣言し、ソ連がそれを破ったという観点も反省もみられません。
■主要な目的は
今回の訪日では、北朝鮮問題やテロとのたたかいなどでの協力強化もとりあげられるとみられるものの、ロシア側の主要な目的は経済関係の拡大です。
報道によると、半独占ガス企業ガスプロム、国営石油会社ロスネフチ、ロシア・アルミニウムなど有力企業のトップも来日し、二十一日に日本経団連主催の「日本ロシア経済協力フォーラム」を開催。プーチン大統領も講演する予定です。
十七日にモスクワで行われた日ロ関係の専門家の記者会見では、「領土問題を未解決のままで、経済、政治の協力を拡大するのが現実的」(ロシア科学アカデミーのミヘーエフ博士)との意見が相次ぎました。最近では、両国で「北方四島」での日ロ共同による「経済活動」の話もとりざたされています。
■展望を描けず
こうした中、日本政府は、北海道の一部である歯舞、色丹と、千島列島に属する国後、択捉の「四島」を一くくりにして返還要求するという立場を取り続けています。しかし国後と択捉が、一九五一年のサンフランシスコ条約で日本が放棄した千島列島に含まれていることは、当時の日本政府代表の国会答弁で明らかであり、この立場は国際的に通用しないものです。
ロシア側の、「サ条約での日本の千島放棄は、事実上ソ連の(諸島領有の)権利を確認したもの」(ルシコフ・モスクワ市長)との主張に対し、日本側は「国後、択捉は放棄した千島ではない」と繰り返すのみ。戦後六十年にもなりながら、領土問題では何の展望も描けていません。
■抜本的転換を
日ロ領土問題について、日本共産党は次のような提案をしています。
(1)歯舞、色丹は北海道の一部であり、平和条約の締結を待たず、ロシアに返還を要求する。必要なら中間的条約を結ぶ。
(2)ソ連が領土を拡大した戦後処理の不公正をただす立場を日本が明確にし、全千島を返還の要求対象として交渉する。
日ロ領土交渉には抜本的な方針転換が不可欠です。

