2005年11月19日(土)「しんぶん赤旗」

前職市長も前民主議員も民営化推進で同じ

連合職場に不安「今度は姫野さん」

大阪市長選


 「七千人の職員削減」「民営化推進」―。関淳一前市長陣営や辻恵前民主党衆院議員陣営が公約に掲げ、競い合う大阪市長選挙(二十七日投票)。行政の責任者を決める選挙での異常な公務員攻撃に、長年「オール与党」の市政を支えてきた連合労組の組合員から、怒りが噴出しています。


 「関さんが勝っても、辻さんが勝っても、民営化するといっている。それなら、民営化に反対している姫野(浄)さん(前日本共産党市議団長)を組合が推薦したらどうなんや」。市営地下鉄や市バスの職員でつくる大交(大阪交通労働組合)のある職場で、年配の組合員が声をあげました。うなずく組合員も。「そんな問題はうちだけで決められるものではない」という組合役員に、共感する組合員はいませんでした。

 姫野候補を推す「大阪市をよくする会」事務所にも、別の大交の組合員から電話があり、思いつめた声で話しました。「職場は民営化の話題で持ち切り。市当局は、世間の批判を浴びた『厚遇』問題を利用し、労働条件をどんどん引き下げている。民営化されたらどうなるのか、みんなピリピリしている」

■深夜手当

 組合員は、地下鉄の駅員や市バスの乗務員が泊まり勤務のさい、支給されていた深夜手当を廃止されたといいます。

 駅の職員は原則、朝から翌朝までの二十四時間勤務です。最終電車が通過後、後片付けを終えると三―五時間の仮眠時間があります。この勤務に一日数百円の深夜手当がついていました。持ち場を離れられない拘束時間にもかかわらず、市は“仮眠時間は勤務ではない”などといって、深夜手当をなくしました。

 これについて、関西の私鉄、阪急電鉄の駅員は「うちでは、深夜手当は時給八百円の契約社員にも支給されています。駅を守り、自由に動けない拘束時間は当然、勤務時間です」と話します。

 職場実態と自分の思いをひとしきり話した大交の組合員。「姫野さんにぜひがんばってほしい」と期待を込めました。

 事務所のメンバーは、「よくする会」が機関紙「よみがえれ大阪」の職場特集号を作製し、大企業のリストラ手法での市民サービス切り捨てや職員のリストラを許さないと論陣を張っていることを紹介。「この機関紙を職場で配布してもらえませんか」と訴えました。

 大交組合員は「わかった」といって事務所を訪れ、機関紙百枚を持ち帰りました。その日のうちに「全部配っといたで」と電話がありました。

■裏に財界

 公務員削減や民営化の背景には、関西財界の強い要求があります。関前市長陣営は、市の「市政改革基本方針案(マニフェスト)」からピックアップして公約を発表。地下鉄や市バス、水道などの市民の命や安全に直結し、役所がやるべき市民サービスを切り捨て、公務の仕事を民間に「開放」することで、大企業などに新たなもうけ口を提供しようとしています。

 関西経済連合会の秋山喜久会長や大阪商工会議所の野村明雄会頭ら関西財界人が十月中旬に「マニフェストは関さんに実行してほしい」と、いち早く支持を表明したことにも表れています。

 「しがらみのない私が、しがらみを絶つ」と主張する辻候補も「民営化などの事業形態の見直し」「職員数削減と給与水準の是正」を公約に掲げています。

 二カ月前の総選挙で、市職労、大交などでつくる市労連(大阪市労働組合連合会、連合加盟)は、辻氏や民主党を組織を挙げて支援してきたばかり。今回の市長選でも、「市労連関係者が辻事務所に詰めている」「大交組合員が選挙カーのアナウンスを担当している」との告発もあります。

 辻氏は、「解同」(部落解放同盟)との密接な関係を持つ人物。総選挙で、「解同」本部が「深く連携してきた辻恵・狭山弁護団メンバーが落選するという残念な結果になった」との声明を発表しています。辻氏の公約には、同和行政に一切触れていません。

 これに対し、「よくする会」は十七日、市役所前で宣伝し、「自由にものがいえ、職員が生き生き働ける市役所をつくろう」とよびかけました。


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