2005年11月18日(金)「しんぶん赤旗」
成田空港で「官製談合」
軒並み高値で受注 ツケは国民に
日本道路公団につづいて新東京国際空港公団(現・成田国際空港会社=NAA)発注工事でも日本経団連の副会長出身企業などが談合――。
橋梁(りょう)や空港など大型プロジェクトで大企業による談合事件が相次いでいます。談合により受注企業は不当利得を得るなか、そのツケは国民にまわされます。
談合の舞台となったのは民営化する前の「新東京国際空港公団」が発注した受変電設備など電機関連工事。二○○○―○三年度で容疑対象となっている「南部貨物上屋第二期受変電設備工事」など二十件が発注されています。
二十件の平均落札率(予定価格に対する落札額の割合)は、約97%。〇三年九月に入札がおこなわれた中央受配電所の更新工事では、三菱電機が約六億四百二十万円の予定価格とほぼ同額の六億二百万円で落札(落札率99・6%)していました。
道路公団と同じように発注者側が談合に関与する「官製談合」で予定価格が漏れ、これをもとに特捜部の捜索を受けた東芝、三菱電機など電機メーカー六社が独占的に受注していた疑いが出ています。
捜索を受けた重電メーカーは一九九六年、日本下水道事業団発注の工事に絡んだ独禁法違反事件で東京高裁で有罪判決を受けた企業。現在、経団連副会長を出している東芝などは独占禁止法の強化に反対する一方、談合を続けていました。
空港公団の工事受注にかかわった関係者は、「成田空港はその成り立ちから、政治と深い関係にあった」と指摘します。
関係者は「電機メーカーは、コンサルタント会社のおこなう設計業務に協力しようとする。設計を手伝ったところが本命企業となる可能性が大きいからだ。政治家は、この設計段階で口利きするケースが多い」と語っており、政治家の関与も含めて徹底解明することが必要です。
(山本豊彦)

